鳩山由紀夫総理大臣(代表)は26日夕、首相官邸で記者団に、同日の東京外国為替市場の円相場が86円台となり急激な円高が進んでいる状況をどうみるか問われ、「円高というよりもドル安である」としたうえで、「原因はドルの方にあると基本的に考えている」と分析。「いすれにしても急激に為替が動くことは望ましいことではない」との考え方を示し、財務大臣を中心に何らかの対応をとるのは当然であるとして、しっかりとした経済運営を行っていく方針を語った。
また、「景気が必ずしもいい状況でないのに円高になっているのはある意味で非常に難しさがある。そのなかで適切な経済運営をしていかなければならない」とも指摘。「これから年末に予算を編成していかなければならないし、補正をいうことも視野に入れて対応策をしっかりと講じること、来年度の予算に対しても経済を二番底に陥らせないようにするための施策をきちんと打っていくことが必要」と述べた。
続いてノーベル賞受賞者との面会を終えて、事業仕分けで廃止や見直しとなっている科学技術関連予算に関する考え方に変化はあったかとの質問に答えた。受賞者との意見交換については「たいへん有意義だった」としたうえで、特にノーベル物理学賞の小柴昌俊東大特別栄誉教授から「眼高手低」という言葉が示され、事業仕分けについて「効果がないからといってどんどん切り捨てるのは手低である」との指摘があったと説明。
その内容として、「大事なことは中長期的な発想のなかで今すぐに効果が出るものではない。自分たちがノーベル賞を受賞したのも産業界に役に立つというものではない。すぐには役に立たないがサイエンスという意味では大変な意義のある話であるから受賞につながった。こういうものをいかに国益、国力として、世界に貢献する日本として伸ばしていくかということは、非常に大事な発想ではないか」との意見をいただいたと鳩山総理は紹介した。
それを踏まえて鳩山総理は「その思いはよくわかる」と述べるとともに、ムダに使われている予算を事業仕分けによってカットしていく鳩山政権の方針にはノーベル受賞者の方々にも理解を得られたことも明かし、「彼らの、大変すぐれた方々の意見を参考にさせていただいて、最終的に事業仕分けも重視しながら、資源のない国にとって大変重要な知的財産であるサイエンス、テクノロジーというものを活用する方向を考えていきたい」と語った。
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