菅直人副総理兼財務・経済財政担当大臣は18日午後、衆参両院の本会議で財務大臣就任後初の財政演説を行い、「政治主導・国民主導の新しい行政を実現し、国民生活に安心と活力をもたらすため、全力で取り組んでまいりたい」と表明した。
演説に先立ち、菅財務大臣はハイチで発生した地震に関し、死者及びその遺族に哀悼の意を示すとともに、多くの被災者にお見舞いを申し上げた。その上で、「わが国としては既に表明している5000万ドルを上限とする緊急無償資金協力を行うとともに、今後とも国際社会と協力しつつハイチの復旧・復興に向けて積極的に取り組んで参る」と述べた。
菅財務大臣の演説は「最近の経済情勢と緊急経済対策」と「平成21年度補正予算の概要」の二本柱。
最近の経済情勢と緊急経済対策では、昨年12月、政府はデフレを克服し、景気回復を確実なものとしていくよう取り組むために「雇用」、「環境」、「景気」を主要な分野とする「明日の安心と成長のための緊急経済対策」を決定したことにふれ、「雇用」においては、雇用調整助成金の支給緩和、介護・医療等の重点分野における雇用創造、雇用保険制度の機能強化を列挙した。「環境」においては、家電エコポイント制度の改善や環境対応車への購入補助の延長を実施するとした。「景気」においては、「景気対応緊急保証」を創設するとともに、セーフティネット貸付を延長・拡充、高齢者医療制度の負担軽減措置の継続をはじめとする「生活の安心確保」、地方公共団体によるきめ細かなインフラ整備等の支援、国税収入減少に伴う交付税減少額補填等の地方支援も行うことをぞれぞれ表明した。
また、「金」をかけずに「知恵」を出すとの観点から、住宅版エコポイント制度の創設や住宅金融の拡大等の事業規模の大きい事業の実施と保育分野や環境・エネルギー分野での制度・規制改革等に取り組んでいくとした。
平成21年度補正予算の概要として、「雇用」6140億円、「環境」7768億円、「景気」1兆5742億円、「生活の安心確保」7849億円、「地方支援」3兆4515億円――合計7兆2013億円を計上していくとした。
最後に、「現下の厳しい経済事情に対応し、景気回復を確実にするためには、本補正予算及び関連法案の一刻も早い成立が必要」と演説を締めくくった。
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