参院予算委員会で補正予算に関する総括質疑が27日午前、開かれ、民主党・新緑風会・国民新・日本の森田高議員が質問に立ち、冒頭、「総理ご自身が陣頭指揮をとっていのちを守るスローガンのもと、予算編成に全力をつくすことに敬意を表する」と語った。
そのうえで森田議員は、「今回の予算をつくり上げるなかで最も大きなテーマとなったのはデフレ不況からの脱出」だと指摘。同時に、短い視点で世界的経済危機の問題と長い足の景気の流れを診断することが必要だとした。
それを行う際、行き当たるのはこの10年間の経済財政政策だとも問題視し、「この10年間の特色は、御用商人、御用学者といわれる市場原理主義者が政治にからみ、強行に構造改革ということで推し進めた政策が連関し、結果的に日本の経済、社会、地方は大きく疲弊した」と分析した。
さらに、小泉元総理が2001年以来、デフレであるのに緊縮財政を行うという「やってはならない」ことを行った結果、日本のデフレ不況の長期化・固定化に繋がったと指摘。デフレからの脱却にあたり、どうやってこれからの政策を健全化するかを鳩山由紀夫総理(代表)に質した。
鳩山総理は、「まず需要と供給のギャップを埋める」対策を行っていくとの考えを示し、需要サイドに着目していくなかでの戦略、経済政策を作り上げていくと表明。「その思いのもとで成長戦略、あるいは補正予算、来年度の予算を考えてきた」とした。
この答弁を受けて森田議員は「需給ギャップがあるということは、ピンチのようであり、チャンスでもある」と指摘。「健全財政を達成するための財政出動というのは、これから重要になってくる」との見方も示した森田議員は「これからの成長戦略の際には、健全化育成のための財政出動を大事に」と強調した。
また、鳩山政権における「いのちを守る予算」について素晴らしいコンセプトだとしたうえで、米国のクリントン政権、英国のブレア政権それぞれの取り組みを列挙し、鳩山政権にとって手がかりになる成長戦略が行われてきたと紹介。やみくもなバラマキではなく、「社会的な共通資本」というキーワードのもと、医療、福祉、雇用、教育に先行投資した結果、いろんな連関が広がって5年目以降の財政赤字の低下につながったことを問題提起した。
鳩山総理は、大事な指摘をいただいたことに謝意を表明。「クリントン、ブレア政権とも医療という社会保障を充実させることで、いのちを守りながら財政も健全化していった。(日本も)今までのようなコンクリートをつくれば経済効果をもたらすという発想ではなく、むしろ人に投資をする、いのちに投資をする政治が今こそ求められる」と力説。同時に、社会保障制度を充実させることによって消費を刺激し、需給ギャップを埋めていくとの認識を示し、「人の命をとことん大事にする政治を行っていく」と改めて表明した。
森田議員は続いて、小泉政権下で断行されてしまった郵政民営化がもたらした問題点に関して言及し、「構造改革というものが近年の日本の社会、地方、経済、財政すべてに悪い方向に影響してきた」と指摘。あわせて、改革の本丸とされた郵政問題の本質に関して「日本人の財産である300兆円を海外に献上することにあった」と指摘。なぜ日本人がこんな政策をとったかについても精査しなければならないとも問題提起した。
亀井静香郵政改革担当大臣は「4年前に日本が危うくなった。(その)崖っぷちから、鳩山政権が成立したなかで、郵政見直しをやることができる。そのことによって、300兆円のお金が、国民が延々と築き上げているシステムが国家国民のものとして守り、発展させていける」と答弁。政権交代によってもたらされた政策転換の重要性に言及した。
森田議員は今後の郵政事業の方向性に関して、外してはならないポイントして、「公共性」「地域性」「機動性」「収益性」を重視する必要性を明示した。
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