鳩山由紀夫総理大臣(代表)は、29日衆参両院の本会議で、就任後初となる施政方針演説(全文下記ダウンロード参照)を行い「いのちを守る」ことを最重要命題として、政府のすべての施策を構築し直すことを訴えた。
冒頭、鳩山総理は、「いのちを、守りたい」と切り出し、「未来を担う子どもたちが、自らの無限の可能性を自由に追求していけるそんな社会を築く」と宣言した。
また、鳩山総理は、ガンジーの「七つの社会的大罪」(理念なき政治、労働なき富、良心なき快楽、人格なき教育、道徳なき商業、人間性なき科学、犠牲なき宗教)を引き、「人間が人間らしく幸福に生きていくためにどのような経済が、政治が、社会が、教育が望ましいのか。今、その理念が、哲学が問われている」と呼びかけた。
そのうえで、人間の幸福を実現するための経済をつくりあげることが、この内閣の使命だとした。
また、「新しい公共」の力を支援することで、自立と共生を基本とする人間らしい社会を築くとした。
同時に、文化立国日本を目指すとして、「異なる文化を理解し、尊重することを大切にしながら、国際社会から信頼され、国民が日本に生まれたことを誇りに感ずる文化を育みたい」とした。
政治的課題として、中央政府と関連公的法人のピラミッド体系を自律的でフラットな地域主権型の構造に変革すること、地域主権国家をつくることを訴え、「本年を地域主権革命元年とすべく内閣の総力を挙げて改革を断行する」とした。
さらに、責任ある政治を掲げ、戦後行政の大掃除を進め、特別会計の整理統合を含め、総予算を全面的に組み替えること、行政組織や国家公務員のあり方を見直すこと、府省庁の再編、政治家自らが襟を正し、政治資金のあり方をより透明で信頼できるものにすることを訴えた。
外交では、東アジア共同体構想の実現へ各国との信頼関係を構築すると述べるとともに、「揺るぎない日米同盟はその重要性に変わりがないどころか、東アジア共同体の形成の前提条件として欠くことができない」と日米同盟の重要性を強調した。さらに、日米同盟を21世紀にふさわしいものに深化させるとした。
マニフェスト関連では、子ども手当を月1万3000円支給すること、高校の実質無償化を開始する、年金記録問題では、紙台帳とコンピューター記録との突合を開始するなど「国家プロジェクト」として取り組むこと、戸別所得補償制度の導入、高速道路の無料化の社会実験を実施することなどを表明した。
最後に、「人のいのちを守る政治、この理念を実行に移すとき。子どもたちに幸福な社会を、未来にかけがえのない地球を引き継いでいかねばならない。この平成22年を、日本の再出発の年にしていこう」と呼びかけた。
|