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2002/05/10
【衆院予算委】鈴木宗男議員の偽証告発動議を与党が否決
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 民主党など野党4党は10日、議院証言法の規定に基づき鈴木宗男議員を偽証の疑いで告発する動議を衆議院予算委員会に提出した。これに対して与党は「偽証とする証拠はない」「議員と秘書は別人格」などの理由を挙げて反対、動議は賛成少数で否決された。

 野党4党の提出した動議は、3月11日の衆議院予算委員会で鈴木議員が証人として宣誓の上行った証言中、国後島緊急避難所兼宿泊施設(通称ムネオハウス)建設工事受注について、自民党の浅野勝人議員の「公設、私設を問わず、あなたの秘書の方がかかわっていた可能性はありませんか」という尋問に対し、「かかわっていたということはございません」と証言したことは、議院証言法6条(偽証の罪)に該当するものであるとし認め、同法8条により委員会の決議をもって告発するという内容。

 4党を代表して動議の趣旨説明を行った民主党の枝野幸男議員は、動議提出の理由について、「(浅野議員の尋問に対する)鈴木宗男君の証言は、同君の公設第一秘書が「偽計業務妨害容疑」で逮捕されたことによって、偽証の疑いが濃厚になった」ため、と説明。また、「このことを放置しておくならば、議院証言法第8条の『委員会は、偽証の罪を犯したものとみとめたときは、告発しなければならない』との規定に反し、国政調査権の行使を放棄することに等しい」と強調した。

 これに続く各党の発言で、与党3党を代表して自民党の藤井孝男議員が「動議に反対の立場から意見を述べる」と切り出すと野党席から一斉にブーイングが起こった。藤井議員は、「秘書逮捕の犯罪嫌疑については新聞等のマスコミ報道のみによって承知しているにすぎず、予算委員会が知っているのは鈴木議員の証言のみであり、証言を偽証とする証拠はない」「議員と秘書は一心同体と言われることが多いが、法的には別人格だ」「秘書らの逮捕によって本事件は司法手続きに入ったものであり、鈴木議員の再喚問要求はこの手続きと競合するため不適当」などと意見表明した。

 民主党から発言に立った松本剛明議員は、「議院証言法は、第8条で、委員会は虚偽の陳述をしたと認めたときは告発しなければならないとしている。告発は委員会の義務であり、法に定める責任を果たさないなら、議員の職務放棄だ」「『司直の手に委ねる』とする責任転嫁の言葉も聞かれるが、本件は委員会告発が起訴の条件なので、本動議の否決はことを闇に葬ることに他ならない」「告発について委員会が開会され、否決された例はない。確証がないとの声があるが、偽証の有罪が確定するのは裁判であり、それは告発をしなければ始まらない。本件はきわめて偽証の疑いが濃厚な案件であり、もし否決されれば単に前例がないだけでなく、憲政史上最大級の汚点を残すことになる。否決に加わった議員は、公人の責任を放棄し、罪を見逃すことに加担した者として後世に残る悪名を刻むことになる」と演説し、否決の方針を決めている与党3党を厳しく断罪した。

<参考>

○議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律

第6条 この法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、3月以上10年以下の懲役に処する。

第8条 各議院若しくは委員会又は両議院の合同審査会は、証人が前2条の罪を犯したものと認めたときは、告発しなければならない。但し、虚偽の証言をした者が当該議院若しくは委員会又は合同審査会の審査又は調査の終る前であつて、且つ犯罪の発覚する前に自白したときは、当該議院は、告発しないことを議決することができる。合同審査会における事件は、両議院の議決を要する。

2 委員会又は両議院の合同審査会が前項の規定により告発するには、出席委員の3分の2以上の多数による議決を要する。

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