柳澤光美議員は4日午前、参議院決算委員会の質疑に立ち、参議院の決算重視、国と地方の公債、地方財政、今後の事業仕分けの進め方、自殺対策に関して質問した。
柳澤議員の決算を重視している参議院での審議を国の予算編成過程に反映させるべきではないかとの質問に、鳩山由紀夫内閣総理大臣(代表)は、「参議院が特に決算を重視していることは大変重要。日本の社会は入り口が大事で、出口が軽んじられるという思いが常々ある。そこを参議院が決算を重視し、近年頑張っておられることは何よりだと思っている」との見解を示した。
国と地方の公債に関し、菅直人・副総理兼財務・経済担当大臣は、「今取り組んでいるのは、これまでの財政の中身が、本当に投資効果があり、国民が安心して消費にまわれるものだったか。まずは、歳出の中身の見直し、それには無駄の排除と共に本当に成長につながるようなものになっていることが必要である」との見解を示し、昨年末まとめた新成長戦略をもとに、「今年の5〜6月までには国会戦略室が中心になり、中期財政フレームを出し、成長と財政規律を両立させる方向性を国民に打ち出したい」とした。
地方の財政状況についての質問では、原口一博総務大臣は、(1)地域にある資源の創富力をどう掘り出して、地域のダイナニズムを回復させる(2)厳しい自治体により厚くするために11年振りの1.1兆円の交付税の増額(3)自らの地域を自らがデザインし、自らが経済や様々なものを責任を持って作っていく――3つの方策で地域主権改革を行い地域を再生していきたいと示した。
今後の事業仕分けの進め方について仙谷由人行政刷新担当内閣府特命大臣は、「事業仕分けは国民の関心とご支持を頂いた。今後は、特別会計、独立行政法人、公益法人の改革を聖域無く取りあげていきたい」とした上で、「決算委員会の分科会の中で一つ一つの事業や独立行政法人を取りあげて集中して審議をしていただきたい」と決算を重視をする参議院決算委員会への第三者的な視点からの行政監視を呼びかけた。
柳澤議員はまた、命に対する思い、自殺対策に関して質した。
鳩山総理は、故・山本孝史議員の遺志をついで、柳澤議員が自殺対策に積極的に取り組んでいられることに対し敬意を示し、主たる原因が経済的な側面が多いことから、政府として雇用調整助成金の拡充と新たな雇用の創出で雇用対策に取り組んでいることを紹介した。そのうえで、「政府内でも、痛烈な思いでなんとか自殺対策をもっと強化しなければならないということで、真剣に協議している。多くの方々に自分たちの居場所と出番を見いだしていけるような、お互いがお互いに支え合う社会にしていきたい。社会を変える「新しい公共」もその一つだが、そういう社会を創りあげていくことで自殺対策に取り組んでいきたい」と強い決意を示した。
福島みずほ・内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全、少子化対策、男女共同参画)は、「近日中に、閣僚レベルの自殺対策総合会議を開き、政府全体の命を守る自殺対策緊急プランを決定したいと考えている。政治が国家意思として自殺をなくしていくということをはっきり決め、そのための施策をすることだ」との答弁を得た。
また、柳澤議員が質疑の中で、2008年に『自殺実態白書』を民間の有志ボランティアによって2カ月で作成されたことを紹介したことに関し、中井洽・国家公安委員会委員長からも「(白書作成に関し)できる限り詳しく生のデータが出せるようにしていき、少しでも自殺防止につながるようなお手伝いをしたい」との答弁があった。
内閣内での連携として、長妻昭・厚生労働大臣からも「ライフリンクの報告書の一節に「自殺はきわめて個人的な問題であると同時に社会構造的な問題である」と書いてあるが、全く同感。内閣全体でこの社会構造的な問題に取り組んでいくために福島大臣とも連携していく」との決意を示した。
なお、柳澤議員が質疑の中で紹介したNPO法人ライフリンクの『自殺実態白書』のウェブサイトは以下の通り。
『自殺実態白書―2008年―』(特定非営利活動法人 自殺対策支援センター ライフリンク)http://www.lifelink.or.jp/hp/whitepaper.html
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