衆院本会議が25日夜開かれ、川端達夫文部科学大臣が行った「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案」(いわゆる高校無償化法案)の趣旨説明に対し、民主党・無所属クラブを代表して江端貴子議員が質問した。
江端議員は冒頭、「ひとりひとりの命を大切にする」こと、「コンクリートから人づくり」へ予算の使い道を改めること、そして「国民の生活が第一。」の政治を実現することが民主党が衆院選マニフェストで訴えてきたことだと改めて表明。同時に、「私が一番強くお訴えし、国民の皆様からのご期待も多いのが、子ども手当と、今回ご提案された『高校無償化の実現』」だとした。
そのうえで、鳩山由紀夫総理(代表)が施政方針で述べられた「未来を担う子どもたちが自らの無限の可能性を自由に追求していける社会」の実現こそが、いまの日本で何よりも求められていると指摘。また川端大臣も予算委員会において、「日本の将来を築く、その中心で支えるのは人で、人の教育こそまさに日本の未来を支える一番重要な課題。社会の大きな支えとなる人材を育てる高校教育で、その費用を社会全体が支えていくという考えのもとに高校無償化制度がある」と答弁したと紹介した。
さらに自らも「改めて本制度の実現にむけ、その意を強くしているところ」だとし、「政権与党としては、この政策を今年4月から確実に実現してまいりたい」と力強く宣言した。
そのうえで江端議員はまず、高校無償化法案は、社会全体で子どもたちの「学び」を支えていくための「画期的な制度改革」を目指すものであり、その円滑な実施のためには、国民の皆様の御理解と御協力が不可欠だとして、改めて高校無償化を実施する趣旨・意義について質問。同時に、中学卒業者の98%が高等学校に進学するなか、民主党は高校無償化を契機に、高校を義務教育するかという疑問の声もあるとして、川端大臣の見解を質した。
川端大臣は、家庭の状況にかかわらず、全ての意志ある高校生等が安心して教育をうけられる社会をつくるため、公立高校の授業料を無償化するものであるとするとともに、諸外国では多くの国で中等教育における無償化が規定されているとして、世界の流れであることも明かした。
また、公立は授業料をとらない一方で、私学は残るという意味では、公立と私立の格差が存在し、私学の方がハンディを負うのではないかと心配されるとして、この懸念にどう応えるのかを川端大臣に答弁を求めた。川端大臣は「私立高校生については公立高校生への負担軽減額と同等の額を支給する」と答弁するとともに、独自の建学の精神をもつ私立高校の場合、無償化は国の関与が強まることになるので課題が多いとした。
次に、公立高校以外の生徒などが受け取る「就学支援金」の支給対象について川端大臣に質した。川端大臣は一定の要件を満たす場合は対象となり得るとし、今後の国会の審議も踏まえつつ適切に判断するとした。
さらに、同法案は来年度からの実施、つまり今年4月以降に公立高校や私立高校等に在籍する生徒・学生が対象であることを踏まえ、「しかし今、経済的理由で学費を納付できない高校生が増え、この年度末に卒業クライシス(危機)が訪れるという差し迫った緊急の問題修学困難な高校生」がいると江端議員は問題視し、「たった一年の違いで子どもたちの一生が左右されることがあってはならない」と述べ、今年度中の支援を求めた。
川端大臣は高校生が授業料滞納分を無利子で借りられるようにするため、都道府県の社会福祉協議会が国の補助を受けて実施している「生活福祉資金貸付制度」に厚生労働省が特例を設けるなど、支援拡充を実施したことを明かした。
江端議員はまた、「政府法案は、高校生たちの学びの機会保障に大変大きく寄与するものであり、できるだけ早く成立させるべき」と訴えるとともに、授業料以外の教育費負担をも軽減するために、奨学金制度についてもさらなる拡充が必要だと指摘。同時に貸与型が中心奨学金制度ではなく給付型を確立すべきだと問題提起した。
江端議員は最後に、自らの選挙区で当時の鳩山代表を迎えて最終演説が行われたことにふれ、その時の大きなうねり・国民の皆さんの熱い思いを忘れることがあってはならないとして、「そのためにも一刻も早くこの法案を通し、高等学校の教育に関わる方々への支援を実現したい、その思いを新たにした」と述べ、質問を締めくくった。
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