島田智哉子議員は17日午前の参議院本会議で、長妻昭厚生労働大臣が趣旨説明を行った「平成22年度における子ども手当の支給に関する法律案」について、民主党・新緑風会・国民新・日本を代表して質問に立った。
島田議員ははじめに、最近相次いで発生している子どもへの虐待死亡事件、子どもの自殺問題について取り上げ、虐待死亡事件のなかには児童相談所や市町村等の関係機関が情報提供を受けていたにもかかわらず事態を回避できなかった事例もあるとして、関係機関の連携、情報の共有化が不十分であること、児童虐待対応の中心を担う児童相談所の人員不足を指摘。「いのちを守る」鳩山内閣として、このような課題を踏まえた今後の対策について長妻厚労大臣に見解を求めた。また、現在の子どもの自殺対策は極めて不十分だとして、対策の強化が急務であるその対策について、川端達夫文部科学大臣の考えを訊ねた。
長妻厚労大臣は、児童虐待の対策として関係機関の連携については、地域の学校、警察、病院、児童相談所で構成される要保護児童対策地域協議会の設置を進めるとともに、中心となる市町村の研修を支援するなどその専門性の向上にも努めていくと回答。また、児童福祉士の人員確保の支援充実を図るとともに、専門性向上のため支援を強化、相談体制の充実に努めるとした。また、来月のはじめには全国の児童相談所所長を集め、児童虐待に対する的確な対応について意見を聞きながら、コミュニケーション良く、対応を協議していく考えも明かした。
川端文科大臣は、自殺予防対策は教育上もっとも重要な課題のひとつであり、学校だけでなく社会全体で解決に導くことが大切だと指摘。今年1月には「子どもを見守り育てるネットワーク推進会議」を設置しその体制を整えるとともに、事実解明の重要性に鑑み、その実態調査・研究を通じ学校および教育委員会による取り組みを一層推進していくとした。
島田議員は、政治や行政によるその対策のなお一層の強化の必要性とともに、家庭、職場、地域、学校など社会全体でこうした現実を直視し、子どもと子育てを応援する社会の実現に向けた取り組みが求められていると述べ、子ども手当の創設は、子どもたちの「健やかな育ち」を社会全体で支援するための大きな一歩だと主張。本法案では、次代を担う子どもの健やかな育ちをひとしく支援するという理念のもと、所得制限を設けず、年齢や出生順にかかわらず一律の手当額とし、対象者を中学卒業まで拡大するなどその内容を高く評価した。
長妻厚労大臣は、「子育てを未来の投資として社会全体で実施することで結果として少子化の流れを変えたい。子ども手当の実施は貧困率の削減にも資する」とその効果を強調。(1)子ども手当(2)保育サービス等の現物給付の充実、(3)ライフワークバランス(仕事と生活の調和)の推進を3本柱として適切に運営、実行することにより子どもの育ちを社会全体で支え合う環境づくりに取り組んでいきたいと決意を述べた。
島田議員は次に、平成23年度以降の子ども手当について、その財源確保に向けた一層の歳出削減について枝野幸男行政刷新担当大臣の基本認識を質問した。
枝野行政刷新担当大臣は、子ども手当を含めたマニフェスト実現の財源確保のため一層努力していくとして、行政刷新の所管では当面(1)4月から事業仕分け第二弾を行い、独立行政法人、政府系公益法人にターゲットを絞り、これらの制度改革へとつなげていくことで歳出の削減、財源の確保に努めていく(2)各省庁内において事業仕分けなるチェックを行うことで中からもムダ削減の努力を進めていく――と表明。これに加え国家戦略、財務両大臣と協力し、全体としての政策の優先順位のめりはりをつけることで子ども手当を含め実行に向けた財源確保に邁進していくと答えた。
さらに島田議員は、今年1月末に策定された「子ども・子育てビジョン」についても「新生児集中治療管理室の整備などによる周産期医療体制の確保、児童扶養手当を父子家庭にも支給するなどひとり親家庭支援といった12の主要政策などを高く評価。ワークライフバランスの推進に向け、子育て中の労働者が短時間勤務等を利用しやすい職場環境の整備や、男性の育児休業の取得促進などの取り組みも重要だと指摘し、本ビジョンに基づき、政府を挙げそれぞれの施策を推進していくよう求めた。
島田議員は最後に、鳩山総理の施政方針演説にも言及、自身も国会議員、与党議員の一人として、その尊いいのちを守るため政治に全力を尽くすことを誓うと述べ、質問を締めくくった。
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