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2010/04/22
【衆院本会議】鳩山総理が核セキュリティ・サミット報告 中野議員が質問
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 鳩山由紀夫総理大臣(代表)は22日の衆院本会議で、12〜14日にワシントンで開催された核セキュリティ・サミットについて報告。各国は核セキュリティ向上のための国内及び国外措置、核セキュリティにおけるIAEAの役割等について意見交換を行ったと語った。

 日本は非核兵器国の道を歩むことが戦争による唯一の被爆国としての道義的責任だと考え、核廃絶の先頭に立ってきたことを述べるとともに、核テロ防止に貢献するためのイニシアティブとして、(1)核セキュリティ強化のためのアジア総合支援センターを日本に本年中に設立すること、(2)核物質の測定および検知・鑑識に関する研究開発の実施、(3)IAEA核セキュリティ事業に対する一層の財政的・人的貢献(約610万ドルの支援)、(4)世界核セキュリティ協会会合を本年中に日本で実施すること――の4つの提案をしたとした。サミットでは、天野IAEA事務局長より活動報告があったほか、多くの国がこれを支持しIAEAの権限と資源の必要性に言及、コミュニケとその具体的指針としての作業計画書が採択されたとも報告。オバマ大統領の呼びかけのもと、各国が核物質の管理や原子力施設のセキュリティを効果的にすることを確認するとともに、協力して核セキュリティの向上を図ることが合意できたとした。

 また、サミット出席に加え、各国および国際機関の首脳と個別に会談したとも鳩山総理は述べた。

 質問に立った中野譲議員ははじめに、オバマ大統領と鳩山総理の意見交換に関する米国報道に言及、それらの報道をそのまま受け売りする議員に対し国益の観点からもその姿勢を「残念に思う。真摯な反省を願う」と指摘。自身が所属する外務委員会において、日本の国益のため、外交はどうあるべきか、与野党の立場を越えて厳しくも建設的な議論が交わされているとして、本会議においても同様の議論をと求めた。

 そのうえで、中野議員はまず、今回のサミットは核テロ対策というひとつの目的に、47カ国と3つの国際機関が参加する大規模なものであり、特に核兵器不拡散条約非締約国(NPT)であるインド、パキスタン及びイスラエルが参加したという点で「画期的な会議」だと評価。現下の国際情勢において最も喫緊かつ最大の核の脅威は「核テロリズム」だとして、その脅威と未然防止へ向けた取り組みのなかで、今回のサミットが果たす役割や位置づけ、歴史的意義について、総理の見解を求めた。

 鳩山総理は、核テロ対策は「国際社会として手遅れになる前に協力して果敢に行動しなければならない」との認識を示し、今回のサミットにおいてコンセンサスでコミュニケ及び計画書を採択したことの意義を強調。「大事なのは情報の共有を図ること。それができた意義は極めて大きい」と述べた。

 中野議員は第二に、サミット後に公表されたコミュニケ及び「作業計画」策定を通じて、国際社会のコンセンサス形成と今後の協力態勢構築に、大きな成果をあげたのではないかとの見解を示したうえで、改めてサミットの具体的な成果について質問した。

 鳩山総理は、サミットで採択したコミュニケ及び「作業計画」について、参加国が核物質の管理を4年以内に徹底を図ること、IAEAに対して財政的な意味でも指示をしながら強化すること、国内法をそれぞれの国で整備し、人材育成を行うことなどを通じて核テロ対策を強化すること――等の内容を列挙、「核兵器のない世界を目指す上で重要な成果を得た」と述べた。

 3点目として中野議員は、今回日本が提案した4点のうち、特に重要なのは核鑑識に関する研究開発だと指摘。核関連技術で世界の最先端をいく日本こそが研究・開発を主導していくべきだとしたうえで、鳩山総理に対し今回のサミットにおいて日本が果たした役割を訊ねた。

 鳩山総理は、改めて4つの具体的貢献策の提案に言及し、「参加国の首脳から歓迎を受けた」と述べ、なかでも核物質の測定検知・鑑識に関する研究開発に関してはなかなか他の国ではできない技術開発であり、米国との協力のもとでしっかり行うことを表明したと明かした。

 中野議員は最後に、「唯一の被爆国であるとともに、資源小国として、発電の約3割を原子力発電で賄っており、核軍縮、核不拡散、原子力平和利用のいずれも重視し、積極的な役割を果たす」とする鳩山総理のステートメントにも触れ、地球温暖化の防止が国際社会の喫緊の課題である今日、核物質の管理の重要性も一層増すことになるとの認識を明示。経済国、核技術の先進国として、今後、発展途上国、なかでもアジア諸国における原発普及の過程で、日本はより一層の貢献が求められることになると指摘した。IAEAの事務局長に日本人の天野氏がされたことは、日本とIAEAがこれまで以上に緊密に協力していく好機だとも述べ、唯一の被爆国の総理として、核廃絶へ向けた鳩山総理の決意を求め、質問を終えた。

 鳩山総理は、「日本としてはサミットで表明した貢献策の実施によって国際的な核セキュリティの強化に貢献していく」「日本は唯一の戦争による被爆国として、核廃絶に向け行動する道義的責任がある」と表明。また、非核兵器国でありながら原子力発電を大規模に行ってきた日本のこれまでの経験を活かし、世界のなかでリーダーシップを発揮していく決意を示した。

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