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2010/05/06
【地方自治体議員フォーラム】全国研修会 地域主権、新しい公共で原口大臣、松井官房副長官、神野名誉教授が講演
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 地方自治体議員フォーラム全国研修会が6日午後総会に続いて開かれ、原口一博総務大臣(地域主権推進担当)、松井孝治官房副長官、神野直彦東大名誉教授(地方財政審議会会長)がそれぞれ、地域主権、「新しい公共」について講演した。

 原口大臣は、まず、第2次世界大戦に至る過程で、ドイツでも日本でも公共サービスにおける格差が拡大したことによって戦争がもたらされたと指摘し、この格差を是正することが地域主権の目的だとした。

 また、中央集権では変化に弱く対応できないとして、小泉政権が進めたピラミッド型でトリクル・ダウン(滴り落ちる。強きものの恵が全体にいきわたるとする方式)ではなく、アメーバ型でファウンテン(泉のように湧きあがる。多様で変化に強い)こそ私たちの方法であると訴えた。

 さらに、「私たちは明治5年以来の大きな改革をしようとしている」として、緑の分権改革とICT(information communication technology)の活用によって格差を是正、新たな成長を図り、二酸化炭素も削減すると基本方針を説明した。そのうえで、依存と分配ではなく、地域のことは地域で決める責任の改革、未来を見据えて一人ひとりを連帯させることが必要であり、そのためには地域の公共サービスの格差をなくすことが不可欠だとした。

 松井副長官は、「新しい公共は実は懐かしい公共である」として、中央の官僚が公を独占するのではなく、「ある種の公共革命を起こしたい。肉付けするのは皆さんだ。同志の皆さんから知恵をいただきたい」と訴え、京都では明治政府に先立ち洛中に64の学校を寄付金を中心にしてつくったこと、小学生の地域での見守り運動、大阪天神橋商店街の落語寄席の常設による町おこし、徳島での葉っぱ産業などを挙げ、官が公共を独占しない形、「新しい公共」によって日本の国の形を変えていきたいとした。

 また、鳩山総理の所信表明演説にある、チョーク工場での話を引き、居場所があり、しかも必要とされていることこそが人間の幸福であることを強調した。

 神野教授は、ドイツ、アメリカ、スウェーデン、日本の経済指標を挙げて、小さな政府を目指した新自由主義では格差と貧困が拡大し、しかも経済成長もたらしていないことを明らかにした。また、日本が格差の拡大、貧困の拡大、財政赤字の拡大、経済成長も低くなった原因は、政府の社会的支出のあり方が、現金給付に偏り、積極的労働市場政策(職業訓練など)や現物給付が極端に少ないことにあると指摘した。

 さらに、地域主権の原点は、現在が100年に一度の危機にあり、従来のモデルが通用しなくなっていること、工業社会・重化学工業から知識型社会への転換期にあることであり、ここを忘れないことの重要性を説いた。そのうえで、現金給付は限界にきており、地方自治体がサービスを給付しないと生活もできず、経済成長もできないし、現物給付、サービスの提供は自治体しか担えず、この面からも地域主権を進めることが必要であるとした。

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