政府提出の国家公務員法改正案などを議題に参議院本会議が19日午前開かれ、仙谷由人公務員制度改革担当大臣が趣旨説明を行い、姫井由美子議員が質問に立った。
趣旨説明のなかで仙谷大臣は、法案に関して、第一には内閣による人事管理機能の強化を図るため、幹部職員人事の一元管理に関する規定等を創設するとした。
第二として仙谷大臣は、内閣による幹部職員人事の一元化を担う体制として内閣官房に内閣人事局を設置すると表明。内閣人事局は行政機関の幹部職員の任命に関して、その適切な実施の図るために必要となる企画・立案・調整に関する事務をつかさどり、あわせて国家公務員制度改革本部の事務局を廃止し、その機能を統合することにより、公務員制度改革を総合的かつ集中的に推進するための体制を整備すると語った。
第三としては、国家公務員の適正な退職管理を図るため、官民人材交流センターおよび再就職等監視委員会を廃止し、官民人材交流の支援、再就職等規制等の適正な運用の確保などを行う民間人材登用再就職適正化センターを設置するとした。
質問に立った姫井議員ははじめに、北海道大学の山口二郎教授は、鳩山政権は与党による官僚の統制が初めて働いた政権であると述べたことを紹介。自民党政権時代にはできなかったことを現政権が実行しつつあるとして、「それは、事業仕分けを通じて、官僚の天下りのためにだけ存在している事業の実態を洗い出したこと。また、公務員制度の改革を通じて、天下りを全面的に禁止すること、これまでの政権ができなかったこと」と述べた。
そのうえで姫井議員は国家公務員法改正は、マニフェストの各論に「定年まで働ける環境をつくり、国家公務員の天下りのあっせんは全面的に禁止する」と謳われている通り、退職勧奨は基本的に止めていく方針かを原口一博総務大臣に質した。
原口大臣は答弁で「補助金・天下り・特別会計・官製談合・随意契約を何としても根絶していかなければいけない」と強調。「現内閣においては組織の改革等に伴い、離職せざるを得ない場合を除き、再就職のあっせんは一切行わない。また、退職勧奨も基本的に廃止する方向で検討しており、政府は希望退職制度の導入を検討する。この制度が導入されるまでの経過的措置として、各大臣の任命権のもと、組織活力の維持等のために特に必要があり、職員に退職勧奨を行う場合は、再就職のあっせんを一切行わない。この各種再就職に関する規律を厳守していく」と表明した。
姫井議員はまた、人件費抑制と公務員が定年まで働ける環境の整備との両立を、どう図るか原口大臣に質問。原口大臣は人事管理の基本的な考え方として、天下りあっせんの禁止、定年まで勤務する環境整備、大臣管理の人事権、公務員人件費の抑制、公務員の活力確保――を列挙し、「この5つが重要」と説明。あわせて霞が関の電子政府化を推進していくと強調した。同時に新規採用削減に向けて各省と調整中だとしたうえで、今後、地方出先機関の原則廃止の方針のもと、抜本的な改革を行うなど、国家公務員総数の削減に取り組んでいく決意を示した。
続けて姫井議員は総人件費2割削減に向けた財政当局の方針と決意を、菅直人財務大臣に求めた。菅大臣は今年の人件費は前年度比で1400億円減少し、5兆1795億円となったと説明。同時に「公務員の人件費については4年かけて平成25年度までに2割削減を目標としている」として、これを進めるうえでは一つは地方分権推進による仕事・お金・人員の地方移管の推進、また公務員制度改革後の労使交渉を通じた給与改訂があると指摘。加えて財務省内にPTをつくり官民交流推進への霞が関ビジネスモデルの検討にも着手したとして「4年程度2割削減に向けて全力をあげていく」決意を表明した。
最後に姫井議員は「与野党が協力してこの法案を成立させ、官僚のモラルハザードを糺していくことが、良識の府としてのあるべき姿ではないか」と提起するとともに、「鳩山総理は、国家公務員が国民本位の視点に立ち『豊かな公』を支えていくという、公務員の意識改革が重要である」と発言されたことを紹介し、法案成立への賛同を求め、質問を締めくくった。
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