菅直人新総理は、8日午後首相官邸で就任会見し、閉塞状況にある日本を元気にするため、強い経済、強い財政、強い社会保障を一体的に進めると、新内閣の基本方針を述べた。
菅新総理は、「私は国民が不幸になる要素、世界の人々が不幸になることを少なくする『最小不幸社会』を目指すとしてきた」と述べ、「政治は貧困、戦争をなくすことに力を尽くすべき」とまず、自らの政治哲学を披瀝した。
また、「バブル崩壊以後の20年は閉塞感が高まり、押しつぶされそうな日本だ」と総括し、その原因は、政治のリーダーシップの欠如であり、国債発行による経済効果の乏しい公共事業を続けてきたことにあると分析した。
これを建て直すために、強い経済、強い財政、強い社会保障の一体的実現を新内閣の方針とするとした。さらに、(1)ライフイノベーション、グリーンイノベーションによる成長、アジアの成長を国内の成長に取り込むことによって強い経済を目指すこと、(2)財政の建て直しは経済成長の前提であり財政再建を図ること、(3)社会保障によって雇用を生み出すとことと説明した。そのうえで、「この三つを統一して強くすることは必ずできると信じる」と強調した。
外交面では、日米基軸が原則であるとしたうえで、アジアとの関係を深めること、ヨーロッパ、アフリカとも連携を進めるとした。沖縄普天間基地の問題については、日米合意に基づいて進め、同時に沖縄の負担軽減に取り組まなければならないとした。
さらに、自らの総理としての仕事に関連して、若い人々を党役員、閣僚として起用したことに触れ、「こうした人は普通のサラリーマンの子ども。志を持ち努力すれば、政治の世界でも活躍できる。これが本来の民主主義。私の仕事は、一つの方向性を示し、議論するところは議論し、納得し、皆の力を結集すること」だと述べた。
最後に、「日本という国のため、世界のため、より良い日本、世界をつくるため、全力を尽くす」と結んだ。
記者の質問に答え、政と官の関係について「官僚を排除して政治家だけでモノを決めればいいということではない」として、官僚のプロとしての知識や経験を十分に生かし、一方で政治家が国民の立場をすべてに優先して決定するような、「政と官の力強い関係」を目指すとした。
消費税に関する質問に、財政は超党派で議論すべき課題であるとの認識を示した。
また、自らの内閣のキーワードについて、自らが山口県出身であることを踏まえ「奇兵隊内閣」と答え、奇兵隊は藩士以外の武士・庶民からも参加していたことを紹介し、自ら指名した閣僚、党役員、議員も奇兵隊同様に幅広い層の人が揃っているとして「奇兵隊のような志をもって勇猛果敢に闘ってもらいたい」と答えた。また、奇兵隊を組織した高杉晋作になぞらえ、「高杉は逃げるときも攻めるときも速い。果断な行動で明治維新を成し遂げる大きな力を発揮した」として、「今の日本は停滞を打ち破るために果断な行動が必要」と語った。
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