長妻昭厚生労働大臣は8日、富山、石川、福井と北陸3県を精力的に回り、政治主導の政治実現に向けた取り組みを力説した。
石川県金沢市内の小さな児童公園で開かれた政談演説会には、夏の熱い陽射しが照りつけるなか約300人が参集。長妻大臣は大きな拍手に迎えられ、「昭、頑張れ」の声援が飛び交うなかマイクを握った。
この演説会には地元選出の奥田建衆議院議員も参加、新しい政治をよりいっそう進めていくため、民主党へのさらなる理解を求めた。
「『最近一部の方にアンタ最近大人しいわね』と言われる」と切り出した長妻大臣は、「そんなことはない」としてまず、就任直後に社会保険庁のコンピューターの経費を100億円削るよう指示したところ、当初は「1円のムダもない」と強弁していた官僚が1週間後には100億円削ったことを紹介。「今までの政権のコスト意識はどうなっていたんだとびっくりした」と語った。
これに加え、就任から一定期間において天下り団体を一つひとつ精査した結果1千億円を捻出、これまで捻出した金額を足すと厚生労働省だけで1兆2千億円になると明かした。
びっくりした例としてもうひとつ、厚生労働省の政策説明会で配られていた資料がわかりにくかったためその理由を質すと、官僚から「質問が出ないよう、つっこまれないようにわざと難しくしていた」との回答があったと紹介。今後は事業仕分けに象徴されるように、それぞれの政策にいくら使い、効果はどうなのかをきっちり説明しなければその事業は廃止される時代だと諭し、方針転換を徹底させているところだと述べた。
さらに、自らムダをなくしていくために4月1日には厚生労働省内に事業仕分け室なる組織をつくったこと、厚生労働省の配下にある独立行政法人のポストに公募で採用した民間人を充てたことにより、これまでの「予算がないとサービスが下がる」から「予算を減らしてもサービスは増やせる」という姿勢に変わったことなどを報告。「政権交代によって役所文化は変わり始めている」とその意義を強調した。
そのうえで、長妻厚労大臣はこれからの社会保障ビジョンとして(1)10年ぶりに診療報酬をプラスとし、特に小児科、産婦人科、緊急外来に一定の措置を講じることで医療崩壊が一定程度留まったこと(2)後期高齢者医療制度のうち年齢差別の診療報酬体系を4月1日に廃止、来年の国会で成立させるべく秋から素案をまとめ、平成25年には新しい制度を導入させること(3)先にまとめた7原則を軸に安心できる年金制度を確立すること――などを列挙。社会保障を充実させることで経済成長の基盤を固めると主張した。
最後に長妻厚労大臣は、「改革の流れを進めていこう」と呼びかけ、「ボロボロになった社会保障を建て直し、皆さまと一緒に未来をつくっていく」と力強く表明した。
演説終了後には、聴衆の輪の中に駆け寄った長妻厚労大臣のもとに握手を求める聴衆が殺到。「年寄りを抱えて大変。あなただけが頼り」「頑張って」「頼んだぞ」などと激励の声が相次ぎ、野党時代から年金問題に尽力した長妻厚労大臣に対して厚い期待と信頼が寄せられた。
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