国会は26日、昨日の衆議院に続いて参議院で森首相の所信表明演説に対する各会派の代表質問を行った。民主党・新緑風会からは参議院幹事長の北澤俊美参院議員が登壇した。27日は千葉景子参院議員が質問に立つ。
北澤議員は、まず今国会の位置づけについて、「本来山積する重要課題を審議するはずの臨時国会が、次の参院選を有利にしようとする与党の思惑で、あわてて選挙制度を変えようとする『党利党略のかけこみ国会』にしてしまった」と怒りを表わにし、暴挙を断固阻止するとの決意を表明した。
その上で、週1回の党首討論の実施を必ず果たすことや、党首討論の出席を持って予算委員会の出席を減らすなどの国会対応は行わないよう求めた。
●できるだけ甘くしたい与党の姿勢ありあり
「あっせん利得処罰法」について、北澤議員は(1)立証が困難な「請託」を要件として残した与党案は、適用しづらい現行の「あっせん収賄罪」を改革したものにはならない(2)私設秘書を処罰対象としない与党案は、あえて抜け道をつくったもの(3)第3者供与処罰を明文化していない−−ことを与党案の問題点としてあげ、「できうる限り甘いものとしようという姿勢がありあり」と批判した。
これに対し、森首相は、(1)については「刑法の賄賂罪において請託を要求している。あっせんには請託を伴うのが通常」、(3)では「あっせん収賄罪との整合性に配意した」などと説明。さらに、「政治は国民の要望を幅広く行政に反映させる機能も果たしている。こうした機能を阻害することないよう配慮することも必要」などと、問題への認識不足ととれる発言まで飛び出した。
続けて、北澤議員は、非拘束名簿式導入に関する与党の公職選挙法改正案について「特定の圧力団体との不明朗な関係を強引に選挙制度の変更にすり替えることは、数を背景にした党利党略」と厳しく批判。しかし森首相はここでも「(現行制度は)候補者の顔が見えず政治への関心が高まりにくいとの問題点も指摘されている」などと論点をすり替えていた。
補正予算については、「与党の諸君は補正予算を既得権と勘違いし、政権存続のために私物化している」と指摘。また、「本気で旧来型公共事業から構造改革に資するIT関連分野への投資に転換するなら、財源や事業内容等具体的に示すべき」と追及した。
さらに、北澤議員は外交では、特に日露平和条約締結交渉と、朝鮮半島安定への日本の役割への認識などをただした。また、不祥事が相次いだ警察の情報公開についても、見解をただした。
最後に北澤議員は、「総理のIT革命論は、一体どんな国づくりを考えているのか全く理解ができない。総理の述べられたのは単なる手段であって、目指すべき社会ビジョンが全く描かれていない」と迫ったが、森首相からは抽象的な答弁しか得られなかった。
そのため北澤議員は、再質問に立ち、「一番大事なときに森総理がわれわれ国民にきちんとした指針を示さないと言うことは、この20世紀から21世紀にかけての指導者の資格を問われる」とさらに追及したが、首相は「今の段階でどのようなことが必要なのかは、どの国もわかっていないのではないか」などと的を得ない答弁を繰り返すだけだった。
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