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2010/08/05
【参院予算委】人間のための経済社会を目指す菅政権の今後の方針質す 辻議員
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 辻泰弘議員は5日午前、参院予算委員会で質問に立ち、今後の政策運営・政治方針をはじめ社会保障政策を中心に諸課題について政府の見解を質した。

 辻議員ははじめに、「ねじれ国会」における政策運営について質問。菅直人総理は、「『国民のために』という共通の目標があれば合意形成できないことはない。与党として真摯に野党の意見に耳を傾けたい」と述べた。

 続いて、「総理の目指す社会像、政策理念は」との問いに菅総理は、自身が提唱する「最小不幸社会」に加え、近年人が孤立化していると指摘、鳩山由紀夫前総理も唱えた「人と人とのつながりを重視し、誰もが居場所がある社会」を目指す考えを示した。

 これに関連して辻議員は「人間のための経済社会を世界に発信していく」とする新成長戦略に理解を示したうえで、重点政策課題は何かと訊ねた。菅総理は、「国民の生活が第一。」を掲げた2009年の衆院選マニフェストならびに「元気な日本を復活させる」とする参院選マニフェストの方向性をいかにすれば実現できるかを政策課題として考えていくと答弁。経済成長改革、財政健全化改革、社会保障制度改革を一体化して進めていくことが重要だとして、「特に雇用の拡大を重視し、それによりデフレの脱却、経済の成長に繋げていくことに重点を置きたい。社会保障の充実については、財源と一体での議論が必要であり、その前提としてムダの削減を徹底する。事業仕分けも特別会計を含めより積極的に進めていく」と強調した。

 辻議員は続いて、「国民の生活が第一。」の方針に基づく政権交代後の11カ月の成果を質問。菅総理は、公共事業予算を18%削減する一方、社会保障予算10%増、教育予算5%増とした予算配分の大幅見直しをはじめ、子ども手当、高等学校の授業料実質無償化の実施、母子加算の復活および父子家庭への児童扶養手当、奨学金制度の拡充、農業戸別所得補償制度のモデル事業、高速道路無料化の社会実験開始などを列挙し、‘09年マニフェストの7割程度のことは取り組み、前進しているとの認識を示した。

 辻議員は次に、新型インフルエンザ対策の総括、改正臓器移植法施行への対処方針、100歳以上の高齢者の方の相次ぐ所在不明のケース等について長妻昭厚生労働大臣に対し見解を質した。

 長妻厚労大臣は新型インフルエンザ対策については第二波の発生に備え対策を怠らず行うとし、ワクチンの在庫は買い戻していただくことで合意ができたと説明。次なる課題の猛毒性の鳥インフルエンザに備え、万全の準備しているところだと述べた。 

 改正臓器移植法施行への対処に関しては、施行後も「脳死は一律人の死とするものではない。脳死が人の死となるのは臓器移植とする場合のみ」と改めて強調、国民に対して誤解ないよう、その周知に努めていきたいと述べた。辻議員が提起した虐待児童からの臓器移植がないようその対策については、「虐待防止委員会を病院のなかに設置、そのなかで虐待の有無を二重にも三重にも確認し、虐待の疑いがある児童からは臓器の摘出は行わないことをガイドラインにも定めている」と答弁。辻議員の「臓器が適正に行われていたかの検証会議を早急に再開すべき」との求めにも、9月を目処に開催する考えを示した。

 また、新生児、0〜11カ月の乳幼児死亡率の低さに比べ乳幼児1〜4歳の幼児死亡率のみが経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国中21位であることについての問いには、今年度予算において小児科の診療医療を10年ぶりに上げるなどその充実に向けた取り組みを紹介。一方で、多発している児童虐待問題にも言及し、平成20年の改正児童虐待改正施行後も、裁判所の許可などハードルが高いために強制立ち入りは3件のみであると指摘。手続き改善の必要性を指摘するとともに、児童相談所の所長と意見交換をし、抜本的対策を打ち出すとした。

 100歳以上の高齢者の方の所在不明について長妻大臣は、「世界一の長寿国の日本といわれながら行政の責任大きい」と問題視、実態把握に向けて戸別訪問やサンプル調査などの対策案を示した。

 このような実態を受けて辻議員から見解を求められた菅総理は、「孤立化がいろいろな形で進んでいる。個々の家族のこともあるが、社会そのものが人間の関係をずたずたにする要素が強かったのではないか」と指摘、人間のつながりそのものが稀薄になっている現状を改めていくべきだと述べた。

 辻議員は、「人間のための経済社会を目指しご奮闘を」とエールを送り、質問を終えた。

 辻議員はこのほか、政府として取り組んできた諸課題として「口蹄疫問題」、「豪雨対策」、「学校耐震化の予備充当措置」、新成長戦略に関連し「医療の産業化、医療ツーリズムの取り組み」について質問した。

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