岡田克也幹事長は27日午後、党本部で定例会見し、同日14時から行われた政府・民主党首脳会議について言及し、そのなかで菅直人総理から当面の経済対策の取りまとめ方について指示があったことを明らかにした。
「従来から三つのステップに分けてこの問題を考えている」と改めて語った岡田幹事長は9月10日に閣議決定した「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」についてふれ、第一ステップについては財源には「経済危機対応・地域活性化予備費」を活用することで決定していると説明した。
そのうえで岡田幹事長は、「第二段階である補正予算について、与野党の提言を踏まえて次の柱で検討するということである」と述べ、(1)雇用・人材育成、(2)新成長戦略の推進、(3)子育て・医療・介護・福祉等(4)地域活性化・社会資本整備・中小企業対策、(5)制度規制改革――の5つを柱として、22年度補正予算においては経済の活性化や国民生活の安定・安心に真に役立つ施策を盛り込みつつ、その他緊要な経費の追加も行うとした。
「こういった考え方のもと、政調会長が中心になって関係閣僚などと連携して、与党・野党との意見交換を進められたいとの(総理の)ご指示があった」と重ねて岡田幹事長は語り、協議の前段階として、こちらの考え方を述べつつ、各党の経済対策の考え方を伺う作業に着手すると説明。
また、補正予算に関する各党の考え方について規模はだいたい揃っており中身についてもそう大きな違いはないとの見方も語り、「できるだけ各党の意見を入れつつ、政府としての、その前に与党としての考え方をまとめるようにしていきたい」との意向を示した。
■冒頭発言
○政府・民主党首脳会議
■質疑
○補正予算について
○日中関係の改善について
○統一地方選挙に向けた地方行脚
○本日の役員会の内容
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■冒頭発言
○政府・民主党首脳会議
【幹事長】私からは1点。先ほど2時から政府・民主党首脳会議がありまして、その中で総理のほうから、当面の経済対策の取りまとめ方について、ご指示をいただきました。わが党としては従来から、3つのステップにわけてこの問題を考えているわけで、第1のステップはすでに先般、9月10日の閣議決定で、いや、先般ですね、第1ステップについては、予備費を使うということで決定をさせていただいたわけでありますが、第2段階については、いわゆる補正予算について、与野党の提言を踏まえて、次の柱で検討すべきであるということでございます。
5つありますが、第1に雇用・人材育成、第2に新成長戦略の推進、第3に子育て・医療・介護・福祉など。第4に地域活性化・社会資本整備・中小企業対策、第5に制度・規制改革ということであります。(平成)22年度補正予算においては、経済の活性化、国民生活の安定に資する施策を盛り込みつつ、その他緊要な経費の追加も行うということでございます。
こういった考え方にたちまして、政調会長が中心になって、関係閣僚などと連携しつつ、与党、野党との意見交換を進められたいというご指示がございました。昨日もテレビで申し上げたところでございますが、協議という、その前の段階の話でありまして、こちらの考え方を述べつつ、主として各党の経済対策についての考え方をお伺いするという作業に着手するということであります。
そういったことを踏まえたうえで、わが党として、より具体的な政策を考えていく。補正予算の今出しております各党の言っております規模、もちろん国民新党のように10兆円というところもありますが、大体、規模はそろっているわけであります。中身についても、そう大きな違いはないわけで、できるだけ各党の意見も入れつつ、政府としても、あるいはその前に与党としての考え方をまとめることにしていきたいというふうに思っております。
私からは総理の指示があったということをご報告して、その他のことは皆さんからの質問にお答えしたいと思います。よろしくお願いします。
■質疑
○補正予算について
【記者】事前に野党と話し合いをするということだが、自民党は、民主党がマニフェストで掲げている子ども手当などを執行停止して、その分を補正に回すといった案を提示している。民主党としては、こういった案も検討に値する余地はあるか。
【幹事長】まずは、お話をよくお聞きすることが重要だというふうに思います。これはダメだ、これはよいというような判断は、なるべく示さないようにしたいというふうに思います。
【記者】規模については野党ともそう違いがないとおっしゃったが、自民党が5兆円、公明党が4兆円という規模を示している。大体このあたりの規模を民主党としても考えているか。提出時期はいつごろを考えているか。
【幹事長】規模は特に民主党としての考え方を今まとめているわけではございません。各党のご意見もお聞きした上で取りまとめをしていきたい。規模が先行するというより、中身と規模というのは、お互い関連している話であります。それから、自民党が5兆円と言う中に、予備費の話というのは含めて、というふうに言っていたのではないかと思います。だからそれはすでにやったわけですから、その意味では5兆円引く9千億円というのが、現在の自民党のお話なのかなというふうに思ったりしますが、いずれにしても、よくお話をお伺いすることは大変重要だと思います。
時期をいつにするかというのは、補正をいつ出すかというご質問であれば、それは事前によく打ち合わせ調整をした上で出すのか、出した上で、国会で調整するのかということによって大きく異なりますので、現時点でそのことについては未定であります。最終的にこれだけ経済が厳しいなかで国民生活も大変ですから、早く補正を通して成立させるということが非常に重要で、そういう観点でいろいろなことを考えていきたいということです。
【記者】今後の与野党の協議というのは、具体的にいつから始めるというのはあるか。
【幹事長】今日の総理のご指示のなかには、そういうこと(協議)は含まれておりません。まずはよく意見を交換して、ということでありますので、協議かどうかということについては、これからの、そういった、よく意見を聞いてみた結果ですから、そのうえで、事前に協議をするのかしないのかと、党によっても、それは考え方違うかもしれませんし、現時点ではそういったことは、なかなかお話できないということであります。
なおご質問の中に協議という言葉が使われましたが、私も言っておりませんし、多分(ブリーファーの)福山さんも言ってないのではないかと思いますので、ぜひ質問は正確にしていただきたいというふうに思います。
○日中関係の改善について
【記者】今日、与党議員の有志が、中国人船長の釈放に抗議する緊急声明を出した。与党内からも政府の批判が出ている現状への受け止めを。菅首相のASEM(アジア欧州会合)出席について、1日の臨時国会召集で、見送りの方向で調整されていると聞く。政府与党内から日中関係改善のために総理がASEMに出席すべき、という意見が出ているなか、出席の是非、可能性をどう考えるか。
【幹事長】与党からどういう意見が出ていますか。日中とASEMとは結びつけにくいですが。
【記者】日中のハイレベル対話のために、総理自身がASEMに出かけていくべきではないかと。
【幹事長】ASEMはヨーロッパの国々とアジアを中心とした国々の対話の場であり、日中の首脳会談ということとは、直接結びつくことではありません。しかしまあそういう重要なことについてどうするかは政府がお考えになることだと思います。日中関係と関連付けて、ということは、私の頭の中ではよく結びつかないのですが。欧州の首脳、アジアの首脳と意見交換をすること、そのものも、それは出ないより出たほうがよいに決まっていますから、総合判断をどうするかというのは、政府でお考えになる話だと思います。
それから、党の中で出た意見というのは、那覇地検に対しての意見ではないかというふうに思いますが、いろいろな意見はあってよいと思いますけれども、必要があれば、それは、部門会議など、党の中でよく議論したらどうかと思います。
【記者】今日、松原仁先生など、民主党の議員12名から、尖閣諸島の自衛隊常駐など警備強化を求める声が上がっている。もう1点、今日の政府・民主党首脳会議や役員会で、尖閣諸島の問題でどのような具体的やり取りがあったか。
【幹事長】(首脳会議や役員会の)具体的な中身について、お話することはございません。(尖閣問題について)松原議員はじめ、いろいろなご意見があることは承知しておりますが、そういったことこそ、党の中でしっかり議論すればいい、そういう場はあるわけですから、というふうに思っておりますが。
【記者】今回の衝突事件、岡田幹事長が外務大臣の時期に起きたものだが、今回、腰砕けのような格好になった。正直、忸怩たるものがないか、内心。
【幹事長】昨日のテレビでもずいぶん申し上げましたが、腰砕けという判断はよく分からないですね。法と事実に基づいて司法当局、検察が判断すると。そして、そういうことに政治が関与すべきではないと。司法の独立という観点からですね、ということで終始一貫したと考えておりますので、なにかいまおっしゃった質問の前提の認識がよく分からないというのが率直なところでありま
す。
【記者】法と事実に基づいて那覇地検が判断したとおっしゃったが、那覇地検が船長を釈放した理由の1つに、わが国、国民への影響、今後の日中関係を考慮するとこれ以上の身柄を拘束して捜査を継続するのは適当ではないというものがあった。この判断は、政治的判断か、法的判断か。
【幹事長】検察が起訴するかどうかということは、それは総合的に判断するということに法律上なっております。その総合的判断をしたというふうに考えております。
【記者】今後もまた、こういう問題が起きる可能性も否定できないと思う。わが国としてこの辺の制海権、制空権をどう確保するか。
【幹事長】制海権、制空権という言葉をどういう意味でお使いになっているのかよくわかりませんが、日本の領土、領海、これについては、当然、国際法の前提にもとづいて日本としては当然必要な対応をしていかなければならない。そこのところはまったく変わっておりません。
【記者】今回のことが、かえって中国がこういう出方をするというイメージを与えてしまって、逆にマイナス的な印象を与えたことは、かえって中国にとってもよくないということを言っているが、具体的にどういう印象を与えるのか。
国際社会としては、日本が十分にそのあたりに対しての防衛をやっていなくて、領有権の主張だけしていて、力では中国にやられてしまった、と逆にそういう見方で国際社会としては見ている可能性もあるのではないか。
【幹事長】ですからきちんと国際社会に対しては、日本のメディアも含めてなんですが、理解されていない部分がありますので、そこの説明はしっかりしていったほうがいいですね。別に法を曲げて船長を釈放したわけではありません。そこは粛々と、法に基づいて判断をするという大原則の中で、検察が釈放という判断をしたわけであります。日本としては、こういったことについて、法の適用ということについて、その原則を曲げることは無いということは今回貫徹されたということであります。
あと、最初にお話になった点ですけれども、日本が一方的に敗北をしたとか、そういうような表現をする方もいらっしゃいますが、私は今回の件で、やはり中国首脳の皆さんに考えていただきたいことは、中国に対する見方というものが非常に変わっていきつつある中で、こういう事件が起きておりますので、結果というものが中国にとって決して良くない結果を招きかねない、そのことはより真剣に受け止めるべきだと、そういうふうに思っております。
【記者】大臣時代、戴秉国・国務委員が、岡田さんなり、政府側に接触してこようとして、それを断ったという話をちょっと聞いた。事実関係は。鳩山前総理が、自分だったらもっとうまくいった、話し合えたというようなコメントをしているが、どう思うか。
【幹事長】前者はどういう根拠に基づいてお聞きになっていますか。いつの話でしょうか。
【記者】(中国人船長が)拘束された直後ぐらいの話と聞いている。
【幹事長】今回に関して、戴秉国氏が私に接触をしようとしたが断ったと。そういうことはございません。鳩山前総理の発言ですが、コメントのしようがありませんね(笑)。そうですか、と言うしかないと思いますよ。
【記者】今日、仙谷官房長官が、午前中の記者会見で、ぶつけられた巡視船の原状回復の費用を中国に求める考えを明らかにされたがどう考えるか。
【幹事長】ちょっと私もそういう話は小耳に挟みましたけれども、よく趣旨がわからなかったので、しかも政府の話ですから、私からコメントすることは特にございません。
【記者】外務大臣時代に、どう見ても向こうのほうから当てに来ている、悪質だと言っていた。公務執行妨害で拘留延長までして、それを釈放と言うとは、法と事実に照らし合わせたというふうには、普通の国民は取っていない。国民は政治の介入があったと取っている。
【幹事長】そう言われても、検察がどういうことで判断したのかは検察の記者発表を見るしかないわけですが、検察側が言っているのは、計画的なものではないと。その場でとっさに出たものというふうに考えられるという趣旨のことは言われています。そういう意味で悪質性が少ないのではないか、というようなことも言っておられて、あとは日中関係の影響ということも言っておられるわけで。そういった検察の判断が、ここで悪いとか良いとか言うと、それ自身が介入になります。ですから、それはそれ、としか受け止めるということしかないのだと思います。
【記者】野党側は衝突時のビデオ提出を求めているが、国会対応としてどうか。
【幹事長】国会対応というか、そういう要求が出たときに政府としてどう考えるかという問題で、幹事長がなんか言う話ではないです。今だと(ビデオは)検察側にあるということであります。まだ(船長の)最終的な処分は決まっておりませんので。明日も参院の外交防衛委員会などがありますので、そういうなかでもそういう議論が出てくるのではないかと思います。どうするか、それは政府の判断の問題だということを申し上げておきたいと思います。
【記者】昨日のテレビで(自民党の)石原幹事長が最高検の幹部の国会招致を求めたいといっていたが。
【幹事長】これはかなり微妙な問題もあると思います。検察の判断というものを、国会に呼んでいろいろ聞くとしても、答えられる限界というものが当然あると思います。従ってどうするかということは、国会の場で協議していただく話ではないかというふうに思います。自民党も、与党のときはぜんぜん違う答えをしていたのではないかと思いますので、お互いここは冷静に、国の制度の根幹にも関わりかねない話ですのできちんと議論したほうが良い。私は絶対だめだと言っているのではないのですけれども、きちんと整理したほうがいいというふうに思います。
○統一地方選挙に向けた地方行脚
【記者】岡田幹事長は土曜日に奈良のほうに行って、地方回りを始めたと思う。参院選敗北の総括で、地方組織が脆弱だったという総括も出されている。幹事長として地方組織の立て直しに向けての考え方と、今後、地方回りをどのようにするか教えてほしい。
【幹事長】地方回り、どういう考え方で行っていくかは、いま党の中で検討しています。なるべく週末は回っていきたいと思います。現場を見るということは大事ですし、県連の幹部の皆さんや、各種団体のご意見なども、ぜひ伺っていきたいと思っているところです。
党組織が弱いということ、私は北海道は、決して弱いとは思わないのですけれども、地方によって差があります。来春の統一地方選挙に向けてしっかりと体制を整えていかなくてはならないと思います。民主党ができて10年以上経つわけですけれども、都道府県ごとにそれぞれ見ていくと2極化しているようで、自民党を上回るだけの議席を誇る県議会もあれば、まだ数人しかいないというところもあります。
私が最初の幹事長のころに方針をつくって、3人区以上では(候補者を)複数立てる、できれば過半数をそれぞれの選挙区で立てていく、ということを、女性の登用とならんで、原則を作りましたが、できていないところがあります。現職の議員は自己防衛という観点から、同じ選挙区から候補者が立つことについて、あまりこう積極的でない面もあります。そういうところはやはり、県連あるいは党本部がもう少し主導して、候補者をたくさん立てるということについて、より強力に進めていきたいというふうに思います。地方議員、特に都道府県会議員がある程度、そろっているところは、逆風が吹いてもある程度耐えられるということは、これまでの選挙で大体立証されているのではないか、私はそう思っております。
人を育てるという意味でも、地方議員をたくさん、当選していただくことは重要なことで、私は三重県ですけれども、三重県で言えば、今から16年前になりますか、北川正恭さんを知事選挙に立てたときに、はじめて当選した若手の県議会議員が育ち、たとえば芝(博一)さんや森本(哲生)さんのように国会議員になった人もいれば、四日市市長や津市長のように首長になった人もいるし、もちろん県議会をそのまま続けている人もいますが、いろいろな意味で人材が育って、県連組織、それが強固なものになっているわけです。そういう循環を作り出す上でも若い人を県議会に立てて、当選させ育てていく。その人たちがまた自治体の長や国会議員になっていく。そういうことが将来の民主党にとっても非常に重要なことだと、そう思います。
○本日の役員会の内容
【記者】役員会のブリーフがなかったので幹事長からご説明をいただきたいのですが。
【幹事長】ブリーフと言っても、今日が初回だったのですが、何を議論しましたかね。いろいろな議論をしましたが、ここでお話をするようなことが果たしてあったのかどうか、今、しゃべりながら思い出しているのですけれども、例えばこういうことを決めました。
従来から、大臣や副大臣については、県連の幹部、つまり会長や幹事長から外れるということを前回からやっていますが、その考え方は基本的に維持していこうと。政務官については「原則」と、「原則」がついていますが、大臣や副大臣については基本的に外れていただこう、そういうことを確認しました。その他、初回だったということで、各委員長から、これからどういう姿勢で取り組むかを、広報委員長であれば、広報委員会の進め方について、意見の開陳がありまして、それについて少し議論したり、そういったことはございました。
【記者】役員会の頭撮りで、幹事長が、最高顧問の3人を常幹のメンバーにとおっしゃっていたが、承認されたか。狙いは。
【幹事長】承認でなくて、幹事長の指名ですので、決めれば決まるんですね。そのことを説明したと、ご理解いただきたいと思います。羽田先生と渡部恒三先生と江田先生と、3名の方にご出席いただく、私からお願いをしたところであります。「狙い」と言いますか、それぞれ政治経験豊富な皆さんですので、常任幹事会は党の意思決定機関ですから、両院議員総会に代わる。従ってその党の意思決定機関における、経験に基づく貴重なご意見をいただけるのではないかと。
あとは常任幹事会、非常に重要な意思決定機関でありますので、党執行部の、執行部というのは代表や幹事長や委員長ですね、それ以外のメンバーをなるべく確保したほうがいいということで。従来から、少なくとも私のときはそういう運営をしてまいりました。ですからブロック別常幹とそれから副代表、そしてもちろん最高顧問と。そういう、執行部でない皆さんになるべく入っていただくことで、より議論を公平に行いたい、ということです。執行部だけでやるんだったらこれは常任幹事会の意味があまりありませんので、そういう意味もこめて、3人の大先輩にお願いしたということです。
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