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2002/05/16
【衆院事態特】岡田議員、武力攻撃事態の定義で政府見解を批判
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 16日、衆議院の武力攻撃事態対処特別委員会が開かれ、政府の武力攻撃事態対処法案における武力攻撃事態の定義および指定公共機関の範囲に関する政府統一見解に対して、民主党の岡田克也議員が質問を行った。

 委員会の冒頭、前回の審議における岡田議員の要求に応えて、福田官房長官が政府見解を発表した。

 政府見解は、武力攻撃事態の定義をめぐって、武力攻撃を「わが国に対する外部からの組織的・計画的な武力の行使」と規定し、その主体については「国だけでなく国に準ずるもの」とした。また、武力攻撃事態に含まれる「武力攻撃が予測されるに至った事態」については、「武力攻撃のおそれのある場合」には至らないものの、ある国がわが国を攻撃するために予備役召集や軍事施設の構築を行っているなど「武力攻撃を行う可能性が高いと客観的に判断される場合」が該当すると説明。「武力攻撃のおそれのある場合」については、ある国がわが国に武力攻撃を行う意図を明示し、多数の艦船あるいは航空機を集結させているなど「武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していることが客観的に認められる場合」が該当する、とした。

 法案の第2条5項にいう指定公共機関の範囲については、具体的には個別の政令で指定するものとしたが、放送事業者については警報等の緊急情報の伝達のため指定することを考えているとし、日本放送協会(NHK)を主に想定していると言及。また新聞社については一般には考えにくいとし、報道機関に対して報道を規制するなど言論の自由を制限することは考えていないとした。

 岡田議員はまず、政府見解における武力攻撃事態の定義を法案の条文にも書き込むべきではないか、と質した。福田官房長官は、「厳密な定義はむずかしい」などと難色を示したが、岡田議員は「政府見解程度の定義は入っていないとあいまいすぎる。法律に書くのと書かないのとでは全然違う」と反論した。

 次に岡田議員は、政府見解における武力攻撃の定義が、国外からの組織的・計画的な攻撃を規模の大小にかかわらず対象にしていることを指摘し、「小規模なテロなどでも必ずこの法律で対応するというのは過大すぎる」と批判した。福田官房長官は、「武力攻撃事態の認定とそれへの対応は別の判断」とし、認定された場合に必ず防衛出動がなされるわけではないと説明したが、岡田議員は、対処基本方針をつくり、私権制限まで可能になる形で対応することになると指摘し、武力攻撃の定義の幅広さ・あいまいさの危険性を浮き彫りにした。

 岡田議員はまた、指定公共機関が実施する対処措置の規定(第2条6項ロ)について、「『その他の措置』という一語が入っていることによって、何でもできる形になっている」と指摘し、その内容を質した。福田官房長官は、生活関連物資等の生産・輸入等に関する指示などを想定しているとし、具体的には国民生活・権利関係の法律において定める、とした。

 関連して岡田議員は、「一番問題なのは、メディアに対する規制だ」とし、報道規制など言論の自由の制限は行わないことを法律の中に書き込むよう要求。しかし福田官房長官は、「書いてはいないが、制限は考えていない」と答えるにとどまった。

 最後に岡田議員は、対処基本方針の国会承認の問題を取り上げ、いきなり攻撃を受けた場合の防衛出動については原則的に事前承認なのに、「武力攻撃が予測されるに至った事態」の場合は、より時間的な余裕があるにもかかわらず事後承認になっていることについて、「よくわからない」と批判。「予測されるに至った事態」についても事前承認にすべきだと指摘した。

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