森ゆうこ議員(予算委員会筆頭理事)は参議院予算委員会で15日午前、一川保夫議員に引き続いて質疑に立ち、経済・財政政策をはじめ、「子育て支援」「医療・介護」「年金」「特会・独法改革」「信頼が揺らぐ検察」「尖閣諸島問題」といった個別の政策について菅直人総理(代表)をはじめ政府の見解を質した。
森議員ははじめに、海江田万里経済財政政策担当大臣に対し、日本の経済・財政の基本認識について質問。海江田大臣は、経済、財政ともに厳しい状況のなか、国の金融資産を活用し財政健全化に努めていくと主張、円高については輸出関連およびその下請け企業に対しては円高デフレ総合緊急対策で対応する一方、円高を利用して資源購入など、積極的な投資政策に力を入れていく考えを示した。森議員は積極的かつ迅速な対応をと期待を寄せるとともに、日本全国のインフラネットワーク整備、更新といった地域インフラの原資として活用できるものは国家ファンドを積極的に政治主導で行うよう求めた。
続いて森議員は、政権交代によって診療報酬が10年ぶりにネットプラス改訂となったとして、医療再生の方向に大きく舵を切ったことを高く評価。そのうえで、救急医療患者のケアができない病院が多いことにふれ、札幌の病院での慢性期患者の呼吸器離脱の取組みを紹介し、国として支援をすべきではないかと提起した。細川厚生労働大臣は、医療・介護におけるチーム医療の重要性を説き、来年度予算でしっかり予算をとりチーム医療の効果の実証を行ったうえでさらに推進していくとした。
また、「消えた年金記録問題」に関連し日本年金機構職員が年金記録照合業務をめぐる入札情報漏えい事件で逮捕されたことを取り上げ、「闇が深い」と問題視。菅総理は「旧社会保険庁から替わった年金機構で起きたのは二重、三重に重い」と述べた。特許庁の不正問題にもふれ、危機感を共有し徹底調査を求める森議員に対し仙谷由人官房長官は、調査のうえ再発防止策を検討する考えを示した。
次に、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例勘定に係る剰余金に関し、会計検査院から無駄に積み上がっているとの指摘があったことに言及。国庫に返還すべきとの主張に対して馬淵澄夫国土交通大臣は「現行の法規では返納できず、法案の策定を含め各府省庁連携しながら進めていきたい」と答えた。雇用能力開発機構の改組に関連し雇用促進住宅の積立金・剰余金にも言及した森議員は、これについても国庫返納を要求。さまざまな理由をつけては国庫返納を認めない独立行政法人の対応を批判、「まっとうな、必要な経費であれば国庫返還した後、改めて交付金をもらえればいい。それをきちんとやらなければ独法改革はできない」と述べた。
続いて森議員は、検察官によるフロッピーディスク改ざん事件については、「あってはならないこと」だとその問題の深刻さを指摘。菅総理も「あるまじき行為。誠に遺憾であり国民にお詫び申し上げたい」と述べた。森議員はこの事件に関して最高検検証チームの進捗状況について西川法務省刑事局長に説明を求めたうえで、無実だとわかっていながら裁判を進め論告まで行った検察への不信感をあらわにし、同チームに調査する資格があるのかと提起した。
さらに、検察審査会の情報公開の必要性を指摘した森議員は、メンバーの平均年齢発表を2度も修正した検察審査会事務官の対応については「何もいえない」と呆れ、審査が密室で行われ、審査にあたって提供される資料の信用性や審査補助員である弁護士の助言内容が適正であるかも定かでないなか、強制起訴された場合には担当弁護士に検察と同等の強大な権利が発生することにも危機感を示した。補助員の発言録の公開や補助員に問題があった場合は事務局が解任できるようチェックするシステムが必要だとも主張。柳田稔法務大臣は、「当面は運営状況を見守るべきだと思うが、同じような意見も承っている。国会内で議論しまとまれば対応していきたい」と応じた。
|