野田佳彦財務大臣は2日午後、衆・参両院の本会議で、「『円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策』を受けて、平成22年度補正予算を提出することになった」として、補正予算提出に伴う財政演説を行い、「現下の厳しい経済情勢に対応し、景気回復を確実にするためには、本補正予算の一刻も早い成立が必要」と早期成立への協力を呼びかけた。
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財政演説は以下の通り。
先に決定されました「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」を受けて、今般、平成二十二年度補正予算を提出することとなりました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要について御説明いたします。
(最近の経済情勢と緊急総合経済対策)
まず、最近の経済情勢と緊急総合経済対策について申し述べます。
我が国経済は、アジアを中心とした外需等により持ち直してきたものの、このところ足踏み状態となっております。また、失業率が若年層を中心に依然として高水準で推移しているなど、雇用情勢も厳しい状況にございます。
先行きについては、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待される一方で、海外景気の下振れ懸念や為替レートの変動などにより、景気がさらに下押しされるリスクが存在しております。
こうした経済情勢を踏まえ、デフレ脱却と景気の自律的回復に向けた道筋を確かなものとしていくために、平成二十三年度までの政策展開を定めた「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」を九月十日に閣議決定し、その「ステップ2」として、十月八日に、「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」を閣議決定いたしました。緊急総合経済対策においては、「雇用・人材育成」、「新成長戦略の推進・加速」、「子育て、医療・介護・福祉等」、「地域活性化、社会資本整備、中小企業対策等」及び財源を使わない景気対策として「規制・制度改革」を五つの柱と位置付け、経済の活性化や国民生活の安定・安心に真に役立つ施策を実施することにしております。
「雇用・人材育成」においては、新卒者就活応援プログラムの実施や、重点分野雇用創造事業の拡充、緊急人材育成支援事業の延長などを行います。
「新成長戦略の推進・加速」においては、天然資源確保を含むグリーンイノベーションの推進、最先端の研究開発の推進を含む科学・技術・情報通信立国戦略の推進などに取り組みます。
「子育て、医療・介護・福祉等」においては、保育サービス等の基盤の整備と児童虐待の防止、地域医療の再生と医療機関の機能強化や疾病対策の推進、介護サービスの充実などを行います。
「地域活性化、社会資本整備、中小企業対策等」においては、耐震化等による安心・安全な居住・生活環境の整備や、地域の目線に立った支援の拡充、地域経済の元気復活に資するインフラ整備などに取り組むこととしております。
さらに、「規制・制度改革」においては、既定事項を着実に実施していくとともに、新成長戦略に掲げられた戦略分野を中心に新たな取組を行うこととしております。
こうした切れ目のない迅速な政策対応によって、デフレ脱却と経済の好循環を確かなものとしてまいります。
(平成二十二年度補正予算(第一号、特第一号及び機第一号)の大要)
次に、今般提出いたしました平成二十二年度補正予算の大要について御説明いたします。
まず、歳出面においては、緊急総合経済対策関連として、「雇用・人材育成」について三千百九十九億円、「新成長戦略の推進・加速」について三千三百六十九億円、「子育て、医療・介護・福祉等」について一兆千二百三十九億円、「地域活性化、社会資本整備、中小企業対策等」について三兆七百六億円、合計四兆八千五百十三億円を計上しております。このほか、既定経費について一兆四千三百十三億円の減額等を行うこととしております。
他方、歳入面においては、税収について、税収の土台増分を基本として、足元の課税実績を織り込んで、二兆二千四百七十億円の増収を見込むとともに、前年度の決算上の剰余金の二兆二千五億円を計上するほか、税外収入の減額を見込んでおります。
この結果、平成二十二年度一般会計補正後予算の総額は、一般会計当初予算に対し歳入歳出とも四兆四千二百九十二億円増加し、九十六兆七千二百八十四億円となります。
以上の一般会計補正に関連して、特別会計予算等についても所要の補正を行うこととしております。
また、財政投融資計画については、本対策を実施するため、この補正予算において産業投資二百四十億円を追加することとしております。
以上、平成二十二年度補正予算の大要について御説明いたしました。
現下の厳しい経済情勢に対応し、景気回復を確実にするためには、本補正予算の一刻も早い成立が必要であります。
何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただきますようにお願い申し上げます。
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