民主党文部科学部門会議(座長:松崎哲久衆文部科学委員会理事、共同座長:笹木竜三文部科学副大臣)は5日午後、2010年ノーベル化学賞受賞者であり、今年度の文化勲章を授章された根岸英一氏(米国バデュー大学特待教授)をお招きし、国会内で意見交換した。
「10月6日のスウェーデンからの電話以来忙しい1カ月だった」と切り出した根岸氏は、株式会社帝人に入社した後にフルブライト留学制度を利用し米国へ留学、在学中に複数のノーベル賞受賞者に会ったことでノーベル賞を夢見始めたこと、遷移金属触媒の師であるブラウン教授との出会い、その後の研究について熱く語った。
意見交換ではまず、自身も理系出身である川端達夫前文部科学大臣(現、衆院議院運営委員長)が日本の若者の理系離れに言及、研究者育成支援に向けた効果的な取り組みはと訊ねた。
根岸氏は、「世界は非常にコンペティティブになっている。どんな分野でも世界レベルのコンペティションであり、若い人がコンペティティブな気持ちを持つことが重要」だと主張。世界に目を向け、自分がやりたい分野だと世界のどこに行けば研鑽できるのかを知ること、大きな野望を抱くことが重要だと強調した。第二に、世界に視野を向けたときに必要になる語学については、「英語が世界語になるが、21世紀の世界語はブロークンイングリッシュ、イングリッシュである必要はない」と指摘。そのうえで、コミュニケーション能力を磨くことが求められるとした。
そのほか、活発な質疑応答が繰り広げられ、望まれる大学のあり方については、「教授を評価し続けるシステムの導入が必要ではないか」とコメント。化学の21世紀の将来については、ナノテクノロジーの重要性にも触れたうえで、金属の触媒のさらなる可能性に言及。「まだ革新的な問題としてエネルギー食糧問題がある。この10〜20年の間にどうしても科学者が解決しなければならない問題。それを実現した国が本当の一流の国入りであり、目をそらしてはいけない」と、今後に向けて抱負を語った。
なお、根岸氏はこの後、首相官邸を訪れ、菅直人総理を表敬した。
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