衆議院予算委員会で10日午前、平成22年度予算の外交、安全保障、経済、情報管理及び危機管理等に関する集中審議が行われ、岡島一正衆院議員が質問に立った。
岡島議員はまず、アフガニスタン復興支援のため政府が検討している自衛隊の派遣のあり方を訊ねた。
北澤俊美防衛大臣は、政府全体での協議に備え、いかような支援ができるかを検討している現状だと説明。医官、看護官の派遣や現地組織への資材提供などを含めて検討、根拠となる法制についても、現行の防衛省設置法が自衛官の任務と規定する「教育訓練」、もしくは自衛隊設置法に基づく派遣が可能かどうかを検討していく考えを示した。
次に、沖縄県普天間飛行場移設問題を取り上げ、在日米軍再編について質問した岡島議員に対し、北澤防衛大臣は、2005年に合意した日米ロードマップに基づき2014年の移転完了を目標に基づき協議していくと答弁。思いやり予算以外のインフラ整備に対する融資について野田佳彦財務大臣は、「日米ロードマップ合意によって電力、上下水道等インフラ整備に7.4億ドル融資等分担することになっている」として、アメリカ当局と協議中だとして、防衛省から平成23年度予算要求が出てきたときに適切に対応、使用量から回収していくことになるとの見解を述べた。
そのうえで岡島議員は、「米国は日本にとって最大の同盟国だが時に利害の対立がある。中国は古くからの隣人だが、尖閣諸島問題など大きな衝突がある」と指摘。菅直人総理(代表)に対し、日本の安全保障のありよう、ビジョンの見解を改めて質した。
菅総理は、「現在の日本にとって日米同盟は外交の基軸だと認識している。中国とも関係を維持、発展させていく。戦略的互恵関係という姿勢で臨んでいくのが基本的な考え」だと表明した。
また、岡島議員は、自身も参加している「人づくり、ものづくりの会」とする議員連盟にも触れ、世界に誇る日本の科学技術、先端技術の重要性を改めて強調。戦後日本を支えたものづくりに携わる人びとが必ずしも財政的に恵まれていない現状を見直すべく、その対策について同議員連盟のメンバーでもあった海江田万里経済財政担当大臣兼科学技術政策担当大臣に考えを質した。
海江田大臣は、「天然資源が少なく、これから益々人口も減少していくなかで優秀な人材をつくる、ものづくりの技術をさらに磨いていくことは重要。6月に政府がとりまとめた新成長戦略のなかでも科学技術は日本の成長を支えるプラットフォームと位置づけている。来年度から第四期科学技術基本計画がスタートするので、どのような内容にするか、財政的支援をどの程度にするか検討しているところ」だと答弁。税金の無駄は廃し、重点的に資金を配分し日本の成長の基盤である科学技術、その基盤である人材の育成に取り組んでいきたい」と主張した。
菅総理は、「短期的なことだけでなく、日本の産業を支え、日本の科学技術こそが日本という国を支えているという認識のもとに対応していかなければならない。財政的な制約あるができるだけ若い研究者がしっかり研究を続けられるよう、財政的な手当も考えていきたい」と述べた。
教育課程における理科支援の重要性も主張する岡島議員に対し、高木義明文部科学大臣は、「子ども達が科学技術に関心を持つことが大変重要。平成24年度まで理科支援配置授業を着実に実施していく。併せて、理数科教員養成の授業にもしっかり予算を確保していきたい」と強い姿勢を打ち出した。
岡島議員は最後に、決算検査報告において会計検査院が1.8兆円近くの無駄、剰余金を指摘したことに言及。このほか、総務省の行政監察や財務省の予算執行調査など、既存の官僚組織のなかにも真摯に向き合っている調査機関もあるとして、こうした機関と連携しながら日常的に事業仕分けを行うべきではないかと提起した。
蓮舫行政刷担当大臣は、既存の官僚組織での取り組みを評価する一方、昨年の事業仕分けではこうした機関ではチェックできなかった事業のムダ遣いが明らかになったとも指摘。それぞれの連携をより深めていくことで税金の無駄遣いをなくしていくとした。
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