民主党政策調査会長 仙谷 由人
小泉内閣は、本日、「郵政民営化の基本方針」を閣議決定した。与党の大半がソッポを向く中での強行決定である。 郵政改革は、肥大化した郵貯・簡保を国民経済の安定的な成長に資するような資源に変えることができるかどうか、改革により国民生活がより効率的で安定したものになるのかどうかという観点から、制度の再設計が行われなければならない。さらには、140兆円もの国債を保有し、財投機関等への貸付も150兆円にのぼるという現状の中で、巨額の郵貯・簡保資金をどのように減少させ、どのように他の分野に移すのかという計画的な改革プログラムが必要であることは疑う余地がない。 小泉内閣は、「民営化」自体を自己目的化するのではなく、民営化により国民生活がどのようによくなるのか、説明責任を果たすべきである。
万国郵便制度に基づく郵便事業は、引き続きユニバーサルサービスが維持されなければならない。また、郵貯・簡保事業は、金融面からみれば、資金循環を大きく歪め、公正な市場づくりを阻害している一つの大きな原因である。これをリスクマネーとしてマーケットに循環させ、資金循環の歪みを解消することが最重要課題である。その過程で、民間事業を圧迫し、これを殺してしまうようなことがあってはならない。同時に、適切な国債管理政策を行い、国債暴落を防ぐ必要もある。
「基本方針」は、一言で言えば、官有民営のもとさらなる肥大化、焼け太りを招来させる可能性が大である。政府はこの「基本方針」を見直し、適切な資金循環と郵便事業におけるユニバーサルサービスの維持に向けて、郵政事業のあり方を再考すべきである。
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