森ゆうこ議員は26日午前、参議院予算委員会の集中審議で北朝鮮の砲撃事件、司法改革等について関係閣僚の見解を質した。
森議員ははじめに、北朝鮮による韓国・延坪島砲撃事件を受け、この背景にある北朝鮮情勢の変化、ならびに拉致被害者の救出をどう考えるか等を菅直人総理(代表)に質問。
菅総理は、北朝鮮をめぐって6者協議が停止されてかなりの時間が経過するなか、哨戒艦沈没事件、濃縮ウラン問題、金正日の後継者継承問題等大きな変化があったなかでの今回の砲撃事件だと分析。「北朝鮮の許しがたい今回の行動に対して、大きな流れのなかでかなり計画的に実行された可能性が強く、それに対して当事者の韓国の立場を強く支持するとともに日米韓の3国が一致すること、北朝鮮に影響力を持つ中国に対しても国際社会の責任ある立場から北朝鮮に抑制を図っていくよう、強く求めていく姿勢が必要であると考えている。また、拉致被害者については『できることは何でもやっていく』という姿勢で臨んでいきたい」と力を込めた。
森議員は、北朝鮮の人権侵害に係わる超党派での国際議員連盟活動にも触れながら、「政府と協力して一刻も早く拉致被害者を救出し、朝鮮半島の平和、日本の平和に向けて全力で頑張ってまいりたい」と述べた。
森議員は防衛省通達問題にも言及、政治的中立性の確保のための通達について、その必要性を北澤俊美防衛大臣に問うた。
北澤防衛大臣は、「自衛隊は厳格なシビリアンコントロールの原則の下に置かれた多数の隊員を要する実力集団であり、政治的中立性の確保は自ら厳しく律していかなければならない。今回のような事案があれば、自衛隊の政治的中立性確保に万全に期すためこうした通達を発するのは当然のこと」だと説明。「本通達は防衛省自衛隊の庁舎、施設を管理する隊員および部外の団体が主催する行事に参加を依頼され、来賓として挨拶し、また紹介される立場の隊員に宛てているものであり、一般の国民の行為を規制するものではない。本通達の趣旨、目的の範囲内で一般の行為を規制しようとするものとする疑念を生じさせることがないようにすることとしており、本通達が憲法で保証された表現の自由などとの関係で問題となるものではないと考える」と述べ、一連の審議のなかで内閣法制局からも「通達の趣旨、目的の範囲内では憲法との関係で問題ない」との答弁を得ているとした。
森議員は次に検察改革を取り上げ、柳田稔前法務大臣が設置した「検察の在り方検討会」の今後について、仙谷由人法務大臣の見解を質した。
仙谷法務大臣は、検察の在り方について幅広い観点から抜本的な改革が必要だとして会を設置したと承知していると理解を示し、「国民のための司法を構築していくことができるようなご提言をいただけると期待している。これを十二分に生かした抜本な改革案ができうればと考えている」と述べた。
続いて森議員は、「個別の案件にはお答えできません」という歴代の法務大臣の決まり文句について、刑事訴訟法第47条に制約されているためだと指摘。柳田前法務大臣が辞任前に「訴訟に関する書類は公判の開廷前にはこれを公にしてはならない。但し、公益上の必要、そのたの事由があって相当と認められる場合はその限りではない」とする、この但し書きの解釈、運用の抜本的見直しを指示したとして、これについて検討するのかどうかを訊ねた。
仙谷法務大臣は、「刑事訴訟法第47条の解釈のみならず、捜査はある時期までは完璧な密航性がなければ成り立たないのは物事の前提」だとしたうえで、「捜査の在り方や人事の問題等々法務省が検察庁のことをどこまで明らかにできるかは公益性、時期、国政調査権との関係と一つひとつ具体的に積み上げていかなければならない問題だが、全て捜査に係わることだから一切シャットアウトということでは国民のための司法改革にはならない」との認識を示した。
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