仙谷由人官房長官会見
硫黄島の遺骨収拾 与野党を越えてエネルギーを結集して早急に取り組むべき課題
仙谷由人官房長官は14日午前、閣議後に首相官邸で会見を行い、閣議において官房長官自身から社会保障改革の推進について発言したとした。
閣議前に開催された安全保障会議についても仙谷長官は、平成23年度以降に係る防衛計画の大綱および平成23年度以降の中期防衛力整備計画について審議を行ったと報告。政府としては新たな防衛大綱および中期防衛力整備計画の策定に向けて早急に最終的な取りまとめを行っていくとした。
また、閣議前に犯罪対策閣僚会議が開催され、再犯防止対策ワーキングチームの設置が決定され、刑務所出所者等の寄寓先、就労先の確保のためのしくみの構築と総合的な再犯防止対策を検討・推進していくと語った。
仙谷官房長官はさらに、同日、菅直人総理(代表)が硫黄島を訪れ、野党議員も参加している点に関して記者に問われた。政府の特命チームはこれまで、アメリカの公文書館で見つかった地図等をもとに遺骨が埋められた島内の2か所の場所をほぼ特定している。菅総理(代表)は遺骨収拾場所を訪れるとともに、戦没者追悼式に参列する。
官房長官は、「日本がもっている構造問題、外交安全保障、さらにはいろんなテーマについて、日本がおかれた困難な状況、あるいは危機的な状況を克服していくという観点。また未来志向で考えていくというポジションに立てば、ほとんどの課題について与野党が議論でき、一致できる部分を見つけることができる」との見解を明示。
そのうえで、硫黄島の遺骨収拾の問題についても「戦後処理であり、だれもがもう少し早く、もう少しエネルギーを結集してやるべきだと心のなかで思っている事柄」だとの見方を示し、この件も与野党でいっしょにできると確認できれば日本が置かれた困難な諸課題について落ち着いて取り組んでいけると思っているとした。
さらに、菅総理(代表)が言及した法人税実効税率の5%引き下げに関する記者の問いに、「現在の経済の現局面は、アメリカ、ヨーロッパ、そしてアジア、新興国等々をにらんで、必ずしも来年春以降、楽観的な見通しを持ってるわけではない。その中で、資源競争、あるいは貿易、開発において、日本の企業が海外に立地したいという欲望に駆られるような状況にある」との見方をまず示した。そのうえで「そこで、新成長戦略との関係で、スーパー特区をつくろう、あるいはシステム輸出を政府が支援してやろうと、太鼓をたたいているわけだ。企業にこれだけ(法人税を)下げるんだから、やはり日本で投資する、雇用を増やす、あるいは雇用条件をよくするということで頑張っていただきたい、こういうエンカレッジするメッセージにはなるだろうと思っている」と期待感を示した。
仙谷官房長官は、同日午後の記者会見で、日米のいわゆる思いやり予算が合意に達したことを報告した。今回の合意は、現行水準 (10年度で1881億円)の維持、3年間だった協定期間を5年間に延長、米軍基地で働く従業員の労務費について、現在の2万3055人分の負担からバーテンダーなど娯楽施設で働く約400人分を段階的に削るもの。
官房長官は、今回の合意では、より効率的・合理的に行うこととなったこと、厳しい財政事情のなかで多くの事業予算が減額されるなかでの現状維持は、最近の日本周辺での緊張の高まり、日米同盟のアジアにおける役割の重要性が増していることや日米同盟の根幹は在日米軍にあるとの認識に立つものだとした。
さらに、日米同盟の深化、東アジアの安定と平和に資するものでアジア各国の理解を得られるとした。
また、昨日の記者会見で 沖縄の基地に関して「甘受」との言葉を使用したことに沖縄から批判の声が上がっているとの指摘を記者から受け、基地の全面的撤去が困難である現状から、負担をお願いしたいというのが本意であったとしながらも、「甘受」との言葉を撤回した。
|