17日、民主党の細野豪志議員が衆議院内閣委員会で質問に立ち、個人情報保護法案の危険性について厳しく指摘した。
冒頭、細野議員は「個人情報保護法案という国家の命運を握りかねない法案を、経済財政を担当する竹中経済財政相がIT担当でもあるからというだけの理由で所轄すると聞いて驚いた。むしろ、内閣を総括する福田官房長官が担当すべき法案である」と述べ、同法案への政府の取り組み姿勢を批判した。
また、官の関与の問題について細野議員は「高度情報化社会において個人情報を守るためには、それを保護する法律が必要であると思うが、本法案には非常に大きなものが欠けている。それは個人情報の価値に対する認識であるとし、その認識を竹中大臣は全くもっていないのではないか」と質した。これに対し、竹中経済財政相は「個人情報の有用性については十分理解している」と述べたが、細野議員は「有用性は情報を使う側の立場だ。個人情報の本来の意味を理解しておらず、この法案を粗末に扱いすぎだ」と指弾した。
そして、粗末に扱いすぎている理由の主たるものは、主務大臣が個人情報取扱業者に対して、「報告の聴取」「助言」「勧告・命令」と何でもできるようになっていることだとし、そうした状況下で薬害エイズ事件、BSE問題などが起こった点を鑑みても「官が個人情報を集中的に操るシステムが望ましいとは考えられない」と語気を強めた。
さらに本法案の問題として、総理が指定すれば国会公安委員会が関与できる仕組みになっていること、個人情報の検閲制度が認められる仕組みになっていることを指摘した。また、城山三郎氏、櫻井よしこ氏など、保守派の自由主義者から強い懸念が表明されていることを例に挙げると、福田官房長官は「官の情報への関与に対する深刻な懸念については、審議を深めて理解してもらうように努めていく」などと答えることしかできなかった。
メディア規制の問題をめぐっては、自民党内でメディア規制についての議論をリードしてきた熊代内閣副大臣、報道と人権などのあり方に関する検討会の谷川座長、内閣委員会の理事会で独自の主張を行って実質的に自民党の理事を解任された坂上議員を参考人招致して議論することを強く要求した。これに対し福田官房長官は「熊代副大臣については本法案の担当外であるので委員会には出席できない」と極めて後ろ向きな答弁に終始し、あいまいさだけが残るものとなった。
最後に細野議員は、すでに与党サイドから法案修正に前向きな見解が示されていること、読売新聞社の修正案が発表されたことを受け、政府の中から修正に対する言及があったことなどを指摘。小泉首相が竹中経済財政相に修正案の検討を指示したと伝えられている問題についても事実関係を質した。しかし竹中経済財政相は「勉強するようにということであり、修正案を検討するというものではない。だから修正はしない」としか答えられなかった。
細野議員は「政府が修正案を検討している状態の中、われわれは何を議論していいか分からない。本法案の責任者である竹中経済財政相が修正についてきちんと説明できないようであれば、小泉首相に状況を説明してもらう必要がある。それまでは竹中経済財政相を責任者とみなすことはできない」と厳しい口調で述べた。
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