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2010/12/17
【今日の官邸】仙谷官房長官会見


仙谷由人官房長官会見
「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱ついて」および中期防衛力整備計画の閣議決定を発表

 仙谷由人官房長官は17日午前、首相官邸で定例会見し、同日の閣議において、「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱ついて」(防衛大綱)(下記ダウンロード参照)および「中期防衛力整備計画(平成23年〜平成27年度)について」(中期防)(下記ダウンロード参照)を決定したと発表した。

 そのうえで「昨年の政権交代という歴史的転換を経て新政権として新たな時代にふさわしい安全保障政策、防衛政策を確立するものである。そういう観点からも極めて意義深いものであると同時に、その実施に向けた責任も極めて重大だと考えている」とした。

 官房長官は防衛大綱のポイントに関して、「安全保障環境の運用に沿った新たな防衛力の整備、つまり動的防衛力の構築が必要であると考えており、そのことを端的に書いた」と説明。動的防衛力の構築として以下の3点を列挙した。

 (1)即応性や機動性の充実…冷戦時代から警鐘されてきた防衛力の存在自体を重視する基盤的防衛力構想に拠ることなく、即応性や機動性を備え、高度な技術力と情報能力に支えられた動的防衛力を構築する。これによって各種の事態に対して実効的に抑止・対処できるとともに、国際平和協力活動などもより能動的に実施することが可能になる。

 (2)冷戦型装備からメリハリのある防衛力へ…適切な規模の防衛力を着実に整備する一方で、真に必要な機能に資源を選択的に集中して、防衛力の構造的な変革をはかって、限られた資源でより多くの成果を達成する。従って冷戦型の戦車や火砲などの装備編成を縮減すると同時に、警戒監視、洋上哨戒、防空弾道ミサイル対処等の機能を重点整備して、防衛態勢を充実させる。

 (3)自衛隊の若返り・精強化…人件費を抑制、効率化すると同時に、高齢化の進んだ自衛隊の若返りによって成長性を向上し、人件費の比率が高い防衛予算の構造を改善する。このため、自衛隊の階級構成、年齢構成を見直すなど、抜本的な人事制度改革を推進する。

 防衛大綱の基本理念と認識に関して仙谷官房長官は、「わが国を取り巻く安全保障課題や不安定要因は多様で複雑でかつ重層化している。これら対応するため、防衛力のあり方の転換が必要だという基本認識である」と表明。そのうえで、日本国憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならない。この基本理念に従って、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ節度ある防衛力を整備するとの基本方針は引き続き堅持するというのが基本理念と基本的な認識であるとした。

 その他の主要な点として、(1)平素から国の総力をあげて安全保障に取り組み、チームレスに対応する(2)首相官邸に国家安全保障に関し、関係閣僚間の政策調整と総理への助言を行う組織を設置する(3)日米同盟を新たな安全保障環境にふさわしい形で進化発展させる(4)二国間、多国間の安全保障協力を多層的に組み合わせてネットワーク化する(5)防衛装備品をめぐる国際的な環境変化に対応するための方策を検討する。いわゆる武器輸出三原則等については国際紛争を助長することを回避するという、平和国家としての基本理念に基づくものであってはこの基本理念は引き続き堅持する――と説明した。

 仙谷長官はさらに、「政府としては新防衛大綱のもと、わが国の平和と安全、国民の安全・安心を確保して参る固い決議である」と述べ、国民の皆様方のご理解をご協力を切に希望したいとした。

 閣議においてはまた、諫早湾干拓訴訟の対応について官房長官から「総理のご決断により上告を行わない旨を決定した」と報告したと仙谷長官は発表。今後は政府が一体となって排水門の開門とそれに向けた充分な事前準備をはかるため、関係省庁間の情報共有、および総合調整をはかるため「諫早湾干拓事業における排水門の開門に関する副大臣級会合」を新たに設置することで関係閣僚に協力を求めたことを明らかにした。

 同日午後の会見で仙谷官房長官は、菅直人総理(代表)と仲井真沖縄県知事との会談で、一括交付金沖縄特別枠の話が出たことに関して、「要望が出ていたので、できる限り応えるということで総務大臣のところで取り組んでいる」と答えた。

 また、前原誠司外務大臣と馬淵澄夫国土交通大臣が沖縄訪問を予定しているとの質問に、それぞれの担当分野で沖縄の問題を解決しようという努力の一環と答えた。
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PDF 平成23年度以降に係る防衛計画の大綱について
PDF 中期防衛力整備計画(平成23年〜平成27年度)について
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