トップ > ニュース
ニュース
ニュース
2000/08/26
「介護現場の声生かしたい」大津市で介護保険公聴会開く
記事を印刷する

介護保険がはじまって5ヶ月。現場からの意見を聞こうと民主党の「介護保険をより良くするプロジェクトチーム」が26日、滋賀県大津市のびわ湖ホールで公開公聴会を開いた。

 これに先立ち、同日午前には、鳩山由紀夫代表と石毛えい子同PT座長、朝日俊弘参院議員、山井和則衆院議員、法雲俊邑滋賀県連副代表が大津市内の介護施設を視察した。

 最初に訪れた特別養護老人ホーム「福寿荘」は、71年に開所された県内で2番目に古い施設で、老人保健施設、療養型病床群、一般病院が併設されている。加藤守彦理事長の案内で施設の中を見て歩いた鳩山代表らは、車椅子に乗った女性にかがみこんで話しかけたり、手を取り合っていっしょに歌ったり、体操をしたりと、老人たちと交流を深めていた。

●宅老所支援を約束=鳩山代表

 次に訪れた市内の民間宅老所(グループホーム)「シルバーの森・夕照苑」(せきしょうえん)は、以前老人保健施設で働いていた西村妙子さんと岡尾康子さんの2人の介護福祉士が、一人ひとりの要望にこたえられなかった経験をふまえ、「きめの細かい介護を」と98年1月に開設した。建物は築50年以上の木造2階建ての借家を改造。現在は入所者5人で、西尾さんと岡尾さんは1日おきに午後5時から翌日午後6時までの25時間勤務を続けている。

 あたたかな雰囲気と居心地の良さに感激した鳩山代表は、老人の居室で「公的補助がゼロ」との訴えを聞き、「大きな施設には、介護保険が利き、お金が出て、こんな居心地が良さそうな宅老所には、介護保険から一銭も出ないのはおかしい」と熱く語り、宅老所支援への取り組みを約束した。

 昼には、びわ湖ホールの楽屋で、大津市がこの秋から予定している老人給食サービスのメニューを試食しながら、市内のケアマネジャーの皆さんと懇談。「ゆっくり話し合いながら調整する時間的余裕がない」「老人の側なのか施設の側なのか、立場があいまい」「介護保険になって事務量がふえた」などの悩みや問題点が出され、鳩山代表らも真剣にメモを取りながら話を聞いていた。

●ケアマネジャーの処遇改善を

 午後1時半からの公開公聴会には、発言者として、地元から「呆け老人をかかえる家族の会」滋賀県世話人代表の猿山由美子さん、訪問介護サービス会社「ライフケアサービス」社長の内田幹也さん、大津市高齢福祉・介護課の福井久さんが出席。これに厚生省から老人保健福祉局企画官の神田裕二さん、民主党の鳩山代表、朝日俊弘参院議員が加わり、シンポジウム形式で行われた。会場には約400人が詰めかけ、入りきれずにロビーでモニターを見る人も。

 発言者からは、「専門員1人に対し50名の受け持ちといわれるが、実際は半分でせいいっぱい。件数を減らしても生活できる報酬にすべき」などと、利用者と事業者の調整に追われるケア・マネジャーの処遇改善を求める声が多く出された他、家事援助の介護報酬の低さ、宅老所についてなど、多くの議論が交わされた。聴衆からは「介護保険を破綻させないように、老人が介護保険の世話にならないですむ対策を」など、体験を交えた専門的な発言が相次いだ。

 最後に今井澄雇用・社会保障担当ネクスト大臣がまとめの挨拶にたち、「介護保険の適用年齢や、医療と介護の連結が不明確な点など、制度の問題を見直していきたい。政治や行政が現場の人たちの夢を奪うことをやってはならないと思っている」と発言。鳩山代表も、「意見を真摯に受け止めたい。介護に従事する人材の育成、単価の見直しを真剣にやりたい」と会を締めくくった。

記事を印刷する
▲このページのトップへ
Copyright(C)2024 The Democratic Party of Japan. All Rights reserved.