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2002/05/20
【衆院事態特】首藤議員、国民にとっての有事の指針欠落を批判
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 20日、衆議院の武力攻撃事態対処特別委員会において、民主党の首藤信彦議員が質問に立ち、政府の武力攻撃事態対処法案が有事の基本法制として大きな欠陥を持っていることを明らかにした。

 首藤議員は、第1に、法案が有事に対する国民の基本的な構えをどのように訴えているのか、という観点から質問。まず、法案がどのような武力攻撃を想定しているのかについて、冷戦型、上陸型、周辺事態型といった区分を示しながら質した。福田官房長官は「外部からの組織的、計画的な攻撃を対象としている。態様の限定はない」とし、中谷防衛庁長官は「(攻撃の態様は)千差万別にわたるので、武力攻撃事態の認定は個別具体的に判断する」などと答えたが、首藤議員は、それでは国民がどのような状態をイメージすればいいかわからない、と批判。また、「指定公共機関」の対象とその役割が明示されていないことも指摘し、「国民生活に関連する主要機関がどういう役割を果たすかを明確にしなければ、有事法制にならない」と指弾した。

 首藤議員は第2に、地方自治体の無防備都市宣言への対応について質問。無防備都市宣言が国際的にも戦争下における自治体の生存技術として確立されていることを指摘し、「21世紀では、多くの宣言が上がり、それらがネットワークになるだろう。そうした状況にどう対応するか」と質した。片山総務相は、「(自治体は)希望表明はできるが、実際に無防備地域に決定するのは中央政府ないしそれが委任する者だ」と答えたが、首藤議員は「違う。(自治体による無防備都市宣言は)人道問題と同様に、国を越えた普遍的な権利なのだ」として、政府の認識を批判した。

 また第3には、緊急事態宣言について取り上げ、法案に宣言の発令が規定されていない理由を質した。官房長官および防衛庁長官は、武力攻撃事態の認定に基づく対処基本方針を公示することを対置したが、首藤議員は「だからダメなのだ。国民一人一人のアイデンティティを問う明確な宣言がなければ、国民は動かない」と批判。首相による原子力緊急事態宣言の発令を規定した原子力災害対策特別措置法の例などを挙げながら、「法案の原典が自衛隊法にあるから、これまでの緊急事態における経験が活かされないのだ」と法案の基本性格を問題にした。

 首藤議員は最後に、「2年後までにまともなものを出すというなら、こんなものを出す代わりに、国民や政治家で幅広い調査会をつくって2年後をめざした議論を開始すればいいではないか」と提案して、質問を締めくくった。

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