岡田克也幹事長は29日、愛媛県西条市を訪れ、白石洋一衆議院議員(愛媛3区)、友近聡朗参議院議員や地元県議、市議と共に、東予港と今治造船(株)西条工場を視察した。地元自治体から、高浜壮一郎愛媛県副知事、伊藤宏太郎西条市長などが参加し、重点港湾である東予港整備への地元の期待の大きさが伺えた。
今治造船グループは瀬戸内海沿岸を中心に8事業所で11基の新造船建設設備を有す日本一の建造シェアを誇る造船専業メーカー。造船業は労働集約型産業として裾野の広い産業特性を持つこともあり、地域の基幹産業として雇用創出に大きく貢献している。
視察では、造船業を取り巻く現状や西条工場の概要を日高義信西条工場長から説明を受け、その後、今治造船の主力工場となっている西条工場内を檜垣幸人社長の案内で見学。材料の鋼板の切断、曲げ、溶接といった、20〜30万トンの大型船が作り上げられていく過程を見て回った。
今治造船では技術を集約し効率を高めることで、他社が一隻あたり1カ月半〜2カ月かかるところを約1カ月で製造しているのも特徴のひとつ。岡田幹事長もその段取りの良さや、ものづくりの粋が集まっている様に驚嘆していた。
視察ではまた、大型クレーンで約60メートル吊り上げたゴンドラに乗って上空から東予港と工場を眺め、地元から要望が出ている東予港の防波堤についても説明を受けた。防波堤がないためにドックや公共岸壁、住宅街までもが災害に対して無防備な状況に置かれている現状を高浜愛媛県副知事や伊藤西条市長から話を聞いた。
東予港では台風の際等には高波が押し寄せ、船や岸壁を破損するなどの被害が出ていることもあり、港湾施設利用者の安全確保の観点からも整備が望まれている。また、港内の静穏の度合いが高まることで計画的な企業活動が確保されて国際競争力が強化され、地域経済の活性化と雇用の拡大に繋がるとも期待されている。
視察後、岡田幹事長は参加者と懇談。檜垣社長からの「今治造船は海外に出て行くことなくこの地域で地域とともに発展していきたいと考えている」との発言に対し、岡田幹事長は「他社は海外に進出する中でこの地域で規模を拡大してこられた最大の秘訣は何か」と質問。檜垣社長は「他社が他業種にも進出していくなかで造船に集中してきた、またグループ企業や下請け・関連企業に苦しい時期を一緒に耐える信頼関係が有ったから」だとの考えを示すとともに、「しかし昨今の円高には本当に苦しんでいる」と答え、岡田幹事長は「国内の造船業が総崩れにならないように踏ん張ってくれていることに感謝したい」と語った。
視察に同行した白石議員は「現場を見ていただいて造船業の現状と東予港の港湾整備の必要性について認識を深めていただけたと思う」と指摘。「県や市とも連携し、20年来の悲願である東予港の港湾整備を進めて行きたい」との決意を新たにした。
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