党豪雪災害対策本部の鉢呂吉雄本部長は7日、前日6日の福井視察に続き、秋田県の横手、湯沢両市を訪問。横手市、湯沢市、秋田県全域それぞれの豪雪被害状況をヒアリングするとともに、対策へ向けた要望書を受け取った。また、横手市ではりんごの果樹園に、湯沢市では倒壊した高松体育館等に足を運ぶなど、豪雪がもたらした深刻な被害現状を見てまわった。
視察には同対策本部事務局長の近藤洋介衆院議員、副本部長で地元秋田県連代表の松浦大悟参院議員、京野公子衆院議員(秋田3区)、災害特別委員会委員の吉川沙織参院議員、が同行した。
横手市からのヒアリングでは、1月6日から降り続いた雪は止むことがなく、2月1日には観測史上最大の積雪深192センチ(2月6日現在の累加降雪深は594センチ)に達し、市民生活に多大の影響が出ている現状が語られた。人的・建物・農業被害が多数発生するとともに、日々除排雪作業に追われ、生活道路、市民生活の確保に自治体の対応だけでは対処しきれない窮状が語られた。同時に特産品のりんご・ぶどう・さくらんぼなどの果樹被害は深刻で、雪解け期に向けて被害の拡大が予測され、先行きの見通しが立たないなか、離農者や農園を放置する農家が大量発生する懸念も提示された。
こうした事態を踏まえて横手市の五十嵐忠悦市長からは(1)特別交付税交付金の増額(2)農林水産省、国土交通省所管の一括交付金の増額(3)果樹等農業被害に対する支援措置の創設(4)融雪災害等の採択基準の緩和――等を列記した要望書が鉢呂本部長に手渡された。
続いて秋田県からは除雪費用が過去3年の平均と比較して、県は1月20日現在で1・3倍、横手市が1・5倍、湯沢市が2・3倍となり、県及び市町村財政を大きく逼迫している状況が示され、今後も降り続くことを考えると県としても例年の2倍を超える除雪費用が見込まれるとも語られた。また、ビニールハウスなど農業施設のダメージは甚大で雪をかぶった果樹園の被害は昭和48年の豪雪を上回るのではないかとの見方も示された。さらに人的被害の7割が転倒や雪下ろし作業中のケースであるとの指摘もあり、高齢化・過疎化による地域力の低下の深刻さも問題視された。
佐竹敬久知事からは(1)平成22年度道路除雪事業への支援(2)特別交付税の増額配分(3)農林水産業における雪害への支援――の3項目が緊急要望として示された。
湯沢市のヒアリングでは、特別豪雪地帯に指定され、雪には慣れている地方にあるにもかかわらず、今回の積雪は未曾有の深刻な事態で「まさしく災害」と実感したとの声が出された。昭和48年の豪雪を超える、観測史上まれに見る積雪で2月1日には172センチあり、通年ベースでの除雪費は例年では4〜5億円のところ今年は8億円を超えるとの見込みも示された。また、果樹被害は10億円に上る予測で、樹木自体が枝折れ等に見舞われている関係で、これまで通りの収量を取り戻すまでには10年程度の期間を要するとの指摘も出され、収量が低下したまま推移するなか、栽培を放棄する農家が増える可能性が高いとの見方が示された。
これらの現状を前に湯沢市の齊藤光喜市長からは、(1)特別豪雪地帯への優先的な特別交付税の傾斜配分(2)幹線市町村道除雪の臨時特例措置(3)人的・住家被害への支援(4)農作物等被害に対する再生産への支援――の求めが鉢呂本部長あてに示された。
視察後に鉢呂本部長は記者団に、「対策本部として現場を見たが、想像以上の未曾有の降雪を実感した」とまず語った。そのうえで、このままでは市民生活に大きな影響を与えることになるとの認識を示し、「対策本部として、最大の対策を講じていきたい」と強調。雪が降り続くなか被害状況も現在進行形で変化するとも述べ、特別交付税の交付やその他の対策についても日々変化する状況を見極めて講じていく必要があると指摘。地元議員が地元のみなさんの意見を聞いて、ニーズに即した対策を打っていく考えを示した。
また今週中には国土交通大臣、農林水産大臣、総務大臣に会い、視察で得た情報を伝えていくと述べ、果樹園の対応策予算の確保、地方交付税の増額、除雪費等の増額等について速やかに各大臣に要望し、実現をしてはかっていく意向を示した。
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