衆院予算委員会で8日、社会保障などマニフェストの財源問題等についての集中審議が行われ、まず民主党の泉健太議員が質問に立った。泉議員は、国民が求めるこれからの国会審議のあり方、予算関連法案等不成立時の国民への影響、政府の「子ども子育て新システム」整備の方向とその財源確保などについて菅直人総理と関係閣僚の考えを質した。
泉議員は「ねじれ状況」下での国会審議の現状について、「議論はいいが、結論を得るべきときまでに得てくれと国民は願っている」と指摘、総理の所見を求めた。総理は、「かなりしっかりした議論を野党の皆さんからもいただき、政府としてもしっかり丁寧に答えていると思う」としたうえで、「この10年20年重要な問題が前に進まなかったことに国民はいらだちを覚えている。国会そのものが問われているという意識を持って真摯に議論を続けていきたい」と決意を述べた。
特例公債法案、税制関連法案などの予算関連法案や年度末に期限が到来する「日切れ法案」の成立が一部危ぶまれていることについて泉議員は、40兆円を超える巨額の歳入欠陥、経済界の期待する法人実効税率5%引き下げの見送り、牛肉・チーズなどの生活関連物資の暫定関税率失効による価格上昇、農林漁業用A重油の免税措置失効による生産者への打撃、地方交付税の4月交付額減少による地方財政への打撃、新年度から導入予定の小学校1年生の35人学級についての学級編成作業への支障、子ども手当・児童手当支給のストップなど経済活動や国民生活への悪影響を具体的に列挙しながら、「ねじれ国会では、この23年度予算は、与党と野党の共同の成果物。それがもし年度をまたいでも提供されないとなると、国会に責任があると言わざるを得ない」と指摘。総理も「いま示されたいくつかの重要な項目について、しっかりと議論していきたい。野党の皆さんにも理解をいただきたい。どういう形であれば合意ができるのか、そういう議論に進んでいくことを期待する」と表明した。
政府が進める「子ども子育て新システム」の目指す方向と財源確保について菅総理は「これまで子育てについて基本的に個人個人親が責任を持ってきたが、チルドレンファーストという考え方に立って社会でしっかり支えていこうという考え方が基本。生涯にわたる人格形成の基礎となる保育と幼児教育の一体的供給、都市部で深刻な待機児童の前倒しでの解消などのため特命チームを作って来年度予算200億円を特に付けた」とし、野田財相も社会保障と税の一体改革に際して子育て支援の財源確保も検討対象に含めていくと表明した。
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