22日、衆議院厚生労働委員会において民主党の五島正規議員が質問に立ち、健康保険法改正案をめぐり、診療報酬改定による医療費の引下げ効果、医療のIT化の課題、健康増進法などについて質した。
五島議員はまず、診療報酬の1.3%引下げと薬価の1.4%引下げによる医療費の削減は7400億円としているが、削減効果が予想よりも大きいことが明らかになった場合、診療報酬の再改定は考えているか、と質した。大塚保険局長は「今回の改定によって想定を超えるような事態が生じるとは考えていない。実績動向は見守っていくが」などと答えるにとどまった。
次に五島議員は、患者医療費の負担増による保険給付費の削減と、それによる受診抑制によって大きな保険給付費の削減になるとしている政府の見方に関して、「本当に保険給付費の抑制になるのか」と疑問を呈し、医療費増加の最大の要因は医療の高度化によるとものとされてきたが、それは実際には極めて限られていると指摘。また高齢者の受診回数も減少傾向にあるとし、「それにもかかわらず自然増があるのは、受診抑制、あるいは必要な受診がされないこと、さらにメディカルコントロールができないことによって、結果的に重症化する患者が増え、医療費の高騰につながっているから」と指摘。こうした要因の改善・検討の必要性を提起した。同時に、健保法改正案にはALSの患者などへの配慮がまったくないという問題も指摘した。
さらに五島議員は、レセプトの電子化と電子カルテプログラムの推進など同法案が示す医療のIT化をめぐって質問。その実現に向けては、厚労省自身が統一モデルとなる電子カルテシステムをつくり、それを医療機関などに配備させるなどして、導入コストの削減をしないかぎり実現は不可能だと分析した。また、新たなインフラ整備とセキュリティ対策および責任所在の明確化の必要性も指摘した。
最後に五島議員は、伝染病の時代や、労働災害や業務上の疾病が多くを占めた時代の健康対策は、いまや行き詰まりをみせていると分析した上で、今日の状況にあわせた疾病監視システムの確立と地域に根ざした安全衛生保険相談業務の確立などを検討するよう求めた。
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