見事に生育したホウレン草だが出荷停止となり廃棄対象に。端正こめて育てた農家の皆さんの無念な胸の内を伺う(写真上)、廃棄され山となったホウレン草(写真下)
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岡田克也幹事長は2日午後、茨城県鉾田市を訪れ、ほうれん草農家を視察するとともに、鬼沢保平・鉾田市長、伊藤孝一・行方市長、まつ(木へんに八と口)田千春・潮来市長、内田俊郎・鹿嶋市長、保立一男・神栖市長、島田穣一・小美玉市長、田所和博・笠間市副市長、小林宣夫・茨城町長、小谷隆亮・大洗町長や、JA役員、漁協、酪農関係者の皆さんから、東日本大震災後の茨城の生産現場や住民生活の窮状についてヒアリングを行った。
視察・ヒアリングには藤村修幹事長代理、郡司彰茨城県連会長(参院議員)、石津政雄同県連会長代行(衆院議員・茨城2区)、藤田幸久同県連副会長(参院議員)、党地震対策本部茨城県担当の小原舞衆議院議員(京都5区)、武内則男参院議員(高知県選出)が同行。ヒアリングでは県連幹事長の長谷川修平県議会議員が司会進行をつとめた。
国の暫定規制値を超える放射性物質が検出され、出荷停止措置がとられているため、青々と育ったほうれん草を廃棄せざるを得ず、刈り取り作業を行っていた鉾田市の農家・坂田さんからは、目に見えない放射性物質と戦い、見事に生育しているにもかかわらず廃棄しなければならない状況に追い込まれている苦しく、悔しい胸のうちを聞いた。また、廃棄対象となったほうれん草が野積みされた様子を実際に目にした。
ヒアリングの冒頭で挨拶に立った岡田幹事長は、「今までにない、大きな地震、つなみ、加えて原子力発電所の事故、わが国は未曾有の状況に直面していると思う。これを何とか力をあわせて国民一人ひとりの力で乗り越えていかなければならない。そのために政府もそして与党、そして野党の皆さんにも加わっていただきながら、しっかりとやるべきことを進めていきたいと思っている」と語った。
そのうえで「一昨日、予算関連法案が概ね決着をした。年度が変わって4月1日から本年度予算を使うことができる。1兆1千億円の予備費も計上してあるので、さまざまなことについて当面予算的な措置はなされている。しかしそれに加えてしっかりと被災地の皆さんの生活を守らなければいけないと思う」と述べた。
また、法律も4月に整備すること、菅直人総理が同日被災地・岩手県の激励及び現地調査に訪れたことにも触れたうえで、「菅総理はじめ閣僚、そして国会議員らが力をあわせて、国民の生活を守るために頑張っているところだ」とした。
ほうれん草農家の視察に関連しては「とにかく農家の皆さんが直面している現状は、丹精込めて作ったものを廃棄しなければならない状況にある。また、出荷規制がかかっていないものまで風評被害で売れなくなって大変な苦しい状況にある。私自身もある程度認識していたが、改めてお話を直接聞かせていただいて、これは国として何とかしなければならないとの思いを新たにしたところだ」と表明。
「皆さんから様々な状況について直接お話を聞かせていただき、皆さまの気持ちを持ち帰って菅総理に直接報告もし、しっかりと対処していきたい」との考えを示した。
ヒアリングでは、出荷停止措置の対象外品目まで「茨城県産」ということで小売業者が敬遠して「売れない」または「震災前の値段の40%などで買い叩かれている」現状を明らかにする声、露地ものほうれん草とビニールハウス栽培とを一律の測定基準値で規制することなどを疑問視し判断基準の見直しを指摘する声、これから作付けが始まる米については手間ひまとコストをかけてつくりあげても収穫期に福島原発が深刻な状況になっていた場合は出荷規制される可能性もあるのでそうした状況を前倒しで判断して国として現時点で作付け停止を判断してもいいのではないかとの声、震災によって圃場や水路のあちこちに問題が生じているため施設の手直しには相当な費用がかかるとの声など、さまざまな指摘が寄せられた。
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