菅直人総理大臣(党代表)は10日、東日本大震災で大きな被害を被った宮城県石巻市を訪問。安住淳衆院議員(宮城5区)の案内のもと、自治体の首長から直接意見を聞くとともに、被害を受けた港湾などを視察し、避難所の被災者を慰問した。午後には仙台の陸上自衛隊駐屯地を訪れ、隊員らを激励した。
石巻市役所に入った菅総理は、村井嘉浩・宮城県知事、亀山紘・石巻市長、阿部秀保・東松島市長、安住宣孝・女川町長から現状の説明と、仮設住宅の早期設置、雇用確保への基幹産業の復旧支援など、復興に向けての要望を聞いた。その後、市庁舎内のラジオ石巻臨時サテライトスタジオで、飛び入り出演をし、被災者にメッセージを送った。また、大きな被害を受けた石巻港を視察。港湾関係者から説明と要望を受けた後に、地元商工会議所の浅野亨会頭の音頭で、復興へ向けてのガンバローコールを行った。
日和山という市内の小高い丘の上から被害地域を視察後、市内で捜索や瓦礫の除去にあたる自衛隊・警察を激励するとともに、避難所になっている学校に身を寄せる被災者を慰問した。被災者からは「お風呂に入りたい」といった要望が出された。同校で学校再開のための復旧作業についていた米軍部隊にも感謝の意を表明した。
視察後に記者団から感想を聞かれた菅総理は、石巻市を訪問した理由について「水産関係の被害について詳しく聞きたかった。漁業は何百年も続いてきた生きる糧だ」とし、政府としてその再生に力を貸していくと述べた。
現時点での復興への青写真についての問いには、「震災から1カ月が経つ11日に復興構想会議をスタートさせる。しかし、この復興は、たんに前に戻すというものではなく、新たな創造、新たな未来に向けてのスタートという位置付けだ」と答え、「自然災害に強い、農業、漁業という地域産業に根ざし、お年寄りなど弱い人たちにやさしい街、新しいものを生み出す街に再生したい」と、今後のモデルケースになるような街にしたいとの考えを示した。
この日の視察には、小川勝也防衛副大臣、東祥三内閣府副大臣、篠原孝農林水産副大臣、阿久津幸彦内閣府大臣政務官、市村浩一郎国交大臣政務官も同行した。
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