液状化により庭の一部が大きく沈下した住宅で説明を聞く(香取市内)
5メートル前後の津波や液状化により損壊した岸壁の復旧状況を聞く(三菱化学鹿島事業所近く)
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岡田克也幹事長は16日、東日本大震災による地盤の液状化で住宅やコンビナートが大きな損傷を受けた千葉県香取市、茨城県鹿嶋市、津波による人命・家屋の被害や放射能による野菜の出荷制限などで苦しむ千葉県旭市などの被災地を視察し、地元市長や住民、企業、農業生産者などの声を聞いた。
千葉県北東部、水郷の風情を残す町並みで知られる香取市では、宇井成一市長の案内で水路沿いや住宅地の液状化被害現場を視察。土砂が噴き出して水路の半分を塞ぎ、住宅地等の一部では家屋が大きく沈下したり傾いている。宇井市長は、現行の被災者生活再建支援法の被害認定基準では、液状化で家屋の基礎が地面より沈下したり床が大きく傾いてもただちに全半壊とは認定されず、「被害なし」とされる可能性もあるとして、認定基準の見直しを求めた。岡田幹事長は「認定基準の運用は政府が決めれば変えられる。建物をジャッキアップして行う地盤改良工事にはお金がかかるので、全半壊と同じだと私は考える」と述べ、認定基準の運用を見直す考えを示した。
2400万平方メートルのエリアに鉄鋼・石油化学などの大型事業所が並ぶ鹿島臨海工業地帯では津波でコンテナが散乱し、鹿島臨海鉄道の路盤が流出したほか、漂流した貨物船が衝突してクレーンなどの荷揚げ設備が倒壊、液状化による道路の隆起・陥没なども目立った。住友金属鹿島製鉄所では大型クレーンの倒壊現場を視察。津波による土砂で水深が1メートルほど浅くなった鹿島港では浚渫(しゅんせつ)工事が必要だが、土砂を持っていく先がないという声も聞いた。三菱化学鹿島事業所ではポンプのモーターが水没して使用不能となった海水取水場の復旧作業の様子などを視察した。同事業所では5月20日の操業再開を目指しプラントの配管などの安全検査を進めているが、再開してわずか40日後には法定の定期点検でまたプラントを停止しなくてはならず、点検時期をずらしてもらえるよう関係行政機関と折衝中だという。
九十九里浜に面する旭市では、最初の地震から約1時間後に到来した大津波により飯岡地区で死者・行方不明者15人、約3000軒の住宅・商店などが損壊する大きな被害を出した。岡田幹事長は明智忠直市長の案内で同地区内を視察。すでにがれきはかなり片付き、修繕や復旧工事が進められていた。がれきの集積場となった公園には、重機により整然と分別されたがれきが積み上げられていた。
岡田幹事長は出荷停止措置がとられている同市産ホウレンソウ、シュンギクなど6種類の野菜生産者や風評被害を受けている安全品目の生産者らと同市飯岡支所の会議室で向かい合った。生産者からは、出荷停止中で収入がゼロの状態でも従業員の給料や電気代などの費用は出て行くことから、1カ月ごとの補償金仮払いや検査の迅速化などを求める声が次々に出された。岡田幹事長は「原発の状況を安定させるよう菅総理も必死の思いでやっている。はじめての経験のなかで、試行錯誤でやっている部分もあるが、1カ月間まったく収入がないということにならないようやっていきたい」と述べ、仮払金の支払いを急ぐ考えを示した。風評被害も補償の対象にしてほしいとする意見に対しては「どこかで線を引かなくてはならないが、きちんと議論して、皆さんの生活が成り立つようにしていく」と表明した。
視察には近藤洋介総括副幹事長(衆院議員)、谷田川元衆院議員(千葉10区選出)、石津政雄衆院議員(茨城2区選出)、加賀谷健参院議員(千葉県選出)、郡司彰参院議員(茨城県選出)も同行した。
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