民主党BBL(昼食をとりながらの勉強会)の第6回(「プラトン時代から合わせると69回目)会合が、27日昼、国会内で開催され、鷲田清一氏(大阪大学総長)が「いま、あえてフォローワーシップについて」をテーマに講演した。
鷲田氏は、現代の市民社会の問題点について、「市民は市民として成熟すべきなのに、逆に市民はコンシューマー、クライアントになってしまった。国や民間企業が提供してくれるソーシャル・サービスを買う人、消費する人、享受する人になっていったということです」と述べ、さらに「そういうサービスが緊急に劣化したり停止した場合、(個人は対応する能力を喪失しているので)クレーマーになってしまう」、「クレーマーとは、もっとこのシステムに安心してぶら下がっていられるように求める人」と指摘した。
そういう現代市民社会において、民主党の掲げた「新しい公共」の概念について鷲田氏は、「シチズンシップの成熟ということが『新しい公共』を受け止める際の一つのキーワードであり、その意味は、『本当に大事なことはお上に任せるな。自分たちで担えるそういう仕組みをつくっていかなければならない』という逆説的なこと」と説き、画期的だと述べた。
また、シチズンシップを成熟させる要素として、(1)呼びかけに応じる用意があるという意味でのResponsibility(責任)が必要、(2)いざとなった時に、Interdependence(支え合い)のネットワークを使える用意があること、(3)多様な人がおり共通の目的・理念を持たない市民社会では、時においてリーダーとなったりフォロワーになったりできる柔軟な構造が求められることを示した。
そして、「市民社会でのリーダーは、自分が皆を引っ張っていくというのではなく、『ちょっとしばらくやってくれへんか?』と推されたら『うん』と答えられる人。そういう人を多く持っているのが、しなやかでしぶとい市民社会です」と述べた。
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