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2011/04/29
【衆院予算委】渡部恒三、橋本清仁、畑浩治の3委員が震災復旧第1次補正予算の質疑
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衆院予算委員会で答弁する菅総理



上から渡部、橋本、畑の3委員
 衆院予算委で29日、当面の震災復旧経費を盛り込んだ第1次補正予算の審議がスタートした。民主党会派からは渡部恒三委員(福島4区選出)、橋本清仁委員(宮城3区選出)、畑浩治委員(岩手2区選出)の3人が質問に立ち、菅直人総理大臣、野田佳彦財務大臣、鹿野道彦農林水産大臣、大畠章宏国土交通大臣、北澤俊美防衛大臣の考えを質した。

 3委員の主な質疑の概要は次の通り。

■復興にかける総理の姿勢、決意

渡部委員 国難と言われるこのとき、災害地の皆さんのために総理が命がけで働くという決意を示してほしい。

菅総理 震災発生以来何度か現地を訪れ、避難されている人々とひざを交えて直接お話しし、家や家族を失った皆さんが何とか立ち直ろうとする姿に接してきた。被災者の皆さんが1日も早く元の生活にまずは戻り、もう一度元気な地域社会を再建していく、そのために政府としてできることは何でもやる、被災者にお金の心配はかけないという姿勢でやらなくてはいけない。私自身にまだまだ未熟なところがあり、必ずしも私の気持ちを十分に伝えきれないところはあるが、このことに命をかける覚悟で臨んでいく。

■原発事故と政府の責任

渡部委員 福島は津波、地震に加えて原発事故による苦しみを味わっている。原発にあぐらをかいてきた東電の責任は徹底的に追及しなくてはならないが、福島県民は東電に協力したのではなく、国策だからというので協力してきた。この人たちが安心して暮らしていけるようにするのは政府の責任だ。

菅総理 東電福島第1原発の電気はすべて東京を中心とする関東に送られて、豊かな生活を支えてきたことをしっかりと認識しなければならない。こういう原子力政策全体は政府が推進してきた国策そのものだと私も理解している。今回の事故の責任が一義的には東京電力にあることはいうまでもないが、国の責任も免れるものではないと考えている。この事故によって避難を余儀なくされている皆さん、作った野菜が出荷されない皆さん、漁業に被害が出ている皆さんなどの被害をしっかり補償することについて国としても責任を持たなくてはならないし、事故の1日も早い収束に国を挙げて対策を進めていく。そういう姿勢で最後の最後まで国が面倒を見るべきだと考えている。

■東北地方の高速道路無料化社会実験

橋本委員 被災地では、他の場所での再建を考える経営者もいるが、それでは失業者がさらに増加してしまう。宮城には蔵王などの観光資源もあるが、観光客も減少している。ぜひ東北地方の高速道路の無料化を進めてほしい。無料化で物流コストが圧縮され、観光の復興にもつながる。高速道路が堤防の役目を果たし、これからの街づくりにも役に立つ。被災した方々に分かりやすく、将来をイメージできる政策だと思う。

大畠国交相 被災地がこれからどう立ち上がるかというときに、一つの考え方として高速無料化がある。地域の産業、地域の経済が大きく立ち直るきっかけになると考えられるので、委員の指摘や各党の意見も聞きながら国土交通省として検討していく。

菅総理 復旧復興に向けて歩みだすときに工場の立地、観光の復活などのために東北自動車道の料金を無料化していくという指摘は同感。相当程度の財政措置が必要だが、東北全体の復旧復興、元気な東日本を作っていくうえできわめて有力な選択肢と考えて取り組む。

■農家への支援

橋本委員 今年度の予算で排水機場整備事業に着手するめどが立っていたところ、津波で農地に深刻な被害が生じた。除塩など農地の今後の復旧方針、作付けできない農家への支援はどう考えるか。

鹿野農水相 まず農地の除塩や区画整理を行っていくため、新たな法律も提出している。一刻も早く作付けしたいという農業者の気持ちに応えていきたい。これから復旧に向けていろいろな作業が行われるが、この作業を被災農家経営再開支援事業として農業者の皆さんに共同で取り組んでいただくことで生活の糧にしていただく。農業者と一体で取り組む。

■漁港復旧

橋本委員 大津波で漁港が甚大な被害を受けた。今後の漁港の復興にどのように取り組むか。

鹿野農水相 太平洋沿岸だけで319の漁港に被害が及んだ。一刻も早く海に出たいという漁業者の思いに応えるため、漁港復旧の応急処置を進めている。どういう形で本格的に復旧復興させていくかについて、地元の方々の意見も聞きながら漁業者と一体で取り組む。

■自衛隊員の保育施設整備

橋本委員 今回の大震災では自衛隊に大変頑張っていただいているが、以前、自衛官同士で結婚している場合、招集がかかったときに幼い子どもを預ける先がないと聞いた。災害時に自衛官が家族を心配することなく災害復旧任務にあたっていただくために、この問題をどう解決していくか。

北澤防衛相 今回の震災では陸上自衛隊の駐屯地施設に児童一時預かり所を設置したり、海上自衛隊横須賀基地で緊急一時保育を実施した。今回は自衛隊のこれまでの歴史にない10万人体制だったので十分とまでは言えないが機能したと思う。今年度予算でその必要物資を整備する予算も確保しているので、さらに充実させていきたい。

■復興財源と経済への影響

畑委員 今回の大震災で25兆円を超えると言われる被害が出ており、今後も万全の補正予算が必要になるが、その財源が気にかかる。財政規律に偏った議論が行われているのではないか。現在の経済に悪影響を及ぼさない財源確保についての認識を問う。

野田財相 まず財源問題ありきの報道があるのは事実だが、政府としてどうこうという議論はない。対策の青写真が決まった時点で、その財源をどうするか、経済への影響、財政への内外の信認なども含めて歳出歳入両面からの議論を丁寧にやっていく必要がある。

菅総理 復興を進めるうえで相当程度の財源が必要になるが、その使い道をしっかり復興や経済の活性化につながるものに振り向ければ経済的効果は大きいので、財政出動は必要だと考える。今の議論が財源論ありきだという指摘には注意しなくてはいけないし、復興と財政再建とを直接に結びつけるべきではないという指摘もよく分かる。一方、日本の今の状況が国際的にもマーケットからも信認を得続ける中で復興を続けるためにどうすべきか、これはこれとして考えておかなくてはならない。

■市街地復興の進め方

畑委員 集団移転も含めた市街地復興の基本方針、支援の拡充などをどのように進めていくか。

大畠国交相 政府として現在復興会議を設けて議論の取りまとめをしていると承知している。国交省でも復興会議に提言をしようと三井辨雄副大臣を中心に検討を重ねている。地元の皆さんがどのような街をつくることを希望されているかを大事にすべきであり、国はいくつかのメニューを示して、その中から選択していただくことになるだろう。従来よりもよい、災害に強いふるさとを作れるように全力で頑張っていく。

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