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2002/05/28
【衆院本会議】中村議員、精神障害者差別の法案に警鐘鳴らす
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 内閣提出の「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案」と民主党が提出している裁判所法改正案、検察庁法改正案、精神保健・精神障害者福祉法改正案の趣旨説明および質疑が28日の衆議院本会議において行われた。民主党案の趣旨説明は、提出者を代表して水島広子議員が行い、両案に対する代表質問には中村哲治議員が立った。

 3法案の趣旨説明に立った水島広子議員は、昨年6月の大阪・池田小学校における児童殺傷事件を精神障害によるものと誤って決めつけ、それに基づいて今回の法案を策定した政府の対応を「精神障害者への様々な攻撃と偏見をもたらし、社会のノーマライゼーションの方向をぶち壊しかねない」と厳しく批判し、政府案を「差別を助長する有害な法案」と切り捨てた。

 その上で水島議員は、(1)最高裁判所、最高検察庁への精神鑑定センターの設置、(2)都道府県ごとの判定委員会の設置、(3)精神保健福祉調査員の設置、(4)精神科集中治療センターの指定、(5)社会復帰支援体制の強化、などの現行制度改善策を盛り込んだ3法案の概要を説明した。

 続いて、初の代表質問に立った中村議員は、冒頭、国民の心の健康を取り戻し、21世紀をこころの世紀にしなければならないと訴え、そうした認識の下で真剣に議論することを議場に呼びかけた。

 その上で中村議員は、まず政府案が大阪・池田小学校事件をきっかけとしたものか否か、またその内容で事件の再発が防げるのかについて質問。同時に、池田小学校事件の被告人が起訴前の本鑑定で心神喪失も心神耗弱も認められなかったこと、また過去の犯罪歴において政府案が対象とする重大な犯罪行為は行っていなかったことを指摘し、政府案では同様の事件の再発防止にはならない、との考えを述べた。

 また、政府案がいう「再犯のおそれ」の予測可能性、判断基準などについても質問。あいまいな要件に基づく判定で長期の入院を余儀なくされる危険を指摘した。

 さらに中村議員は、精神医療・精神福祉の現状、精神鑑定制度の問題点についても質し、最後に「近代立憲国家の第一の使命は、人権を守ること」と訴えて、質問を締めくくった。

 答弁に立った森山法相は、政府案が池田小学校事件に対する「適切な施策を求める意見の高まり」を受けたものであるとし、同様の事件の再発防止に効果があるとしたが、その根拠は明らかにしなかった。また、「再犯のおそれ」の予測は可能とし、その有無の判断基準についても、障害の類型、病状、過去の病歴、他害行為の内容などに基づいて、最終的には裁判所が判断するとしたが、具体的な基準内容には触れなかった。

 答弁に立った水島議員は、地域福祉の確保、措置入院制度の整備などを進める精神保健・精神障害者福祉法改正案の意義を提起。また民主党案提出者の一人である平岡秀夫議員も答弁し、裁判官任せになっている精神鑑定制度の問題点を指摘、裁判所法、検察庁法の改正の必要性を述べた。

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