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2011/06/17
被災者二重ローン対策で民主・自民・公明の3党が合意



3党合意記者会見で合意案を説明する民主党実務者の近藤洋介衆院議員
 東日本大震災で大きな被害を受けた被災地の復興の障害となる、いわゆる「二重ローン問題」の解決策について協議していた民主・自民・公明の3党政調会長は17日、「1次合意」に達した。

 二重ローンとは、地震・津波で住宅や事業用資産を失った被災者が生活や事業を再建するに際して、既往ローンが重荷となって新規の資金調達が困難となる問題で、今後の復興策を進めるうえで国としての対応策が求められている。

 同日の一次合意は、被災した商工業者等の資金ショートなどの懸念が高まっていることから、政府として早急に対策を講じるべきとの認識で概ね一致した項目を取りまとめたもので、その内容は次の通り。

○事業性ローンについての旧債務に係る利子負担軽減等
 旧債務が雪だるま式に増大し、再生を阻害することを避ける方策として中小企業の旧債務に係る利子負担の軽減を図る。また、新規融資を受けやすくする手当て等を早急に検討する。

○リースによる設備導入の支援策
 リース債務については、低炭素関係の設備に係る保険制度は存在するが、一般の機械を対象とした制度はない。被災地のニーズを踏まえ、設備導入支援策を講じる(リース信用保証制度の検討を含む)。

○住宅ローンについての利子負担軽減
 新規の住宅取得にかかる費用と既往の住宅ローンの返済にかかる費用をあわせた負担が全体としてできるだけ軽減される措置を講じる。

○個人向け私的整理ガイドラインの策定
 金融機関が、法的整理によらず、私的に行った債務免除についても無税償却や債務免除益非課税が可能となる方策を早急に検討し、その一環として「個人向け私的整理ガイドライン」(仮称)を策定すること等により、簡易な債務整理を促進する。また、中小の法人企業向けの更なる方策についても、検討する。

○二重債務をできる限り負わずに再出発可能な事業環境の整備
 事業協同組合や農協等の共同利用施設の整備や、仮設工場・仮設店舗等の無料貸出し等について、予算の拡充などにより、早期に事業再開を希望する中小企業や農林漁業者を支援する。事業立ち上げ時の設備投資に必要な資金の助成など、事業再開・転業等を支援する制度を強化する。

○災害公営住宅の供給
 自力での住宅再建が困難な方について、災害公営住宅において住居を確保し、被災者の生活の安定を図る。

○政策金融機関による融資
 「東日本大震災復興特別貸付」「東日本大震災復興緊急保証」など政策金融機関において長期にわたる元本返済猶予、低利融資を認める貸付制度、信用保証制度により被災者を積極的に支援する。

 二重ローン対策を協議している3党の実務者は、「1次合意」した7項目以外に、今後さらに協議を進めるテーマ8項目についても「残された検討課題」としてまとめ、公表した。
関連URL
  党復興ビジョン検討チームが被災者の二重ローン対策を枝野官房長官に提出(6/13)
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=20255
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PDF 二重ローン問題についての3党実務者共同記者会見配布資料
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