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2002/05/29
【衆院厚労委】山井議員、医療情報開示、老人医療費問題など質す
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 民主党の山井和則議員は、29日の衆議院厚生労働委員会で健康保険法改正をめぐって質問。医療制度の抜本改革と医療サービス向上を促す立場から、(1)医療情報開示、(2)歯科の訪問診療制限、(3)老人医療と介護基盤整備、について厚生労働省の見解を質した。

 山井議員は、まず医療情報開示について、政府の健康保険法改正案の付則で「医療情報の提供を開始する」とされていることを取り上げ、「何を、いつまでにやるのか」と質した。坂口厚労相は、医療機関の報告制度やインターネットを通じた情報提供の拡大などを挙げるとともに、カルテの開示についても、山井議員による繰り返しの要請を受け入れる形で、1カ月くらいのうちに専門家らによる検討会を立ち上げることを表明した。

 山井議員はさらに、死亡患者のレセプトの遺族への開示をめぐって、社会保険庁が医療機関に遺族の開示請求情報を無条件に伝えていることを取り上げ、それを定めた同庁のマニュアルを遺族の承諾を条件とするよう改正することを求めた。坂口厚労相は、「医療機関と患者の風通しを良くすることの方が大事」などと突っぱねたが、山井議員は、「大きな覚悟を持たないと開示請求ができないという状況を変えなければ、風通しも良くならない」と厚労相の姿勢を批判した。

 次に山井議員は、4月の診療報酬改定で歯科の訪問診療が大幅に制限された理由を質した。厚労省の田村政務官は、通院可能な人が訪問診療を受けている事例が多数報告されていることを挙げたが、山井議員は「問題は(通院可能か否か)グレーゾーンの人が多いこと。そこでの判断は、ある程度現場の医師が行うことを認めるか」と質した。厚労相は「常識的にやっていただけばいいと思う」と認めた。

 また山井議員は、老人医療費の伸び率適正化に関連して、「患者負担増はその受け皿となる介護保険施設整備とのセットでなければ論じられない」と指摘し、厚労省の施設整備状況に関する認識について質問。とりわけ、特別養護老人ホームの定員の4倍もの待機者を抱える名古屋市の例を挙げながら、「これで施設が足りていると言えるか」と追及した。厚労相は、「一概には言いにくい」「在宅介護中心というのが介護保険の理念」などと述べたが、山井議員は「在宅で利用しやすいような介護保険の抜本改革の方向性もいまだに出ていない」と切り返し、介護サービスは利用しにくく、医療も受けにくいという高齢者の“たらい回し”状態の解決を求めるとともに、老人医療費の伸び率を抑えるための安易な患者負担拡大にクギを指した。

 最後に山井議員は、「医療制度の抜本改革こそ必要であり、それができなければ患者負担増は見送るくらいの気持ちで取り組んでほしい」と強く訴えて、質問を終えた。

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