衆議院本会議で31日、森首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が行われた。民主党からは鳩山由紀夫代表と、先の総選挙で初当選したばかりの水島広子衆院議員のふたりが質問にたった。
精神科医として「子どもの心」の問題に取り組んできた水島広子議員は、まず道徳教育を強調する森首相の取り組みを「いじめは人間の多様性を認められない排他的な行動だ。総理は教育勅語の復活を期待するような発言をするなど、単一の価値観を押しつけようとしている気がする」と批判。
また、夫婦で別の姓を名乗るため書類上の離婚、再婚の手続きをした自身の経験を引き合いに出し、「同姓夫婦であっても崩壊している家庭もある。名字が同じということと家庭の円満とは何の関係もない」と述べ、選択的夫婦別姓への見解や、法律上結婚していない母親から生まれた子ども=非嫡出子を差別する民法の改正への取り組みを問いただした。
さらに、水島議員は、「国会こそよいコミュニケーションの見本を子供たちに示すべき。民主主義とは多数決で押し切ることだと誤った理解をしている人たちが増えている」と与党の国会運営を辛口に批判した。
答弁に立った森首相は、最初「率直な言葉を感銘深く拝聴した」と感想を述べたものの、自分の言葉はそれだけ。あとは、いじめ問題で「国民各層の意見を聞き適切に対処したい」、選択的夫婦別姓や非嫡出子差別の撤廃についても「国民的合意が必要で幅広く議論を」と述べるなど型通りの官僚答弁に終始。
水島議員が「野党と十分話し合いをして、途中でキレたりせずに、お互いに納得のできる結論に達するまでの辛抱強さを見せてほしい」と述べて、「党首討論を毎週行って自ら模範を示すべき」と迫っても、「国会でご議論いただくこと」と、自らの判断は示さずじまいだった。
質問を終えた水島議員は、「自分が常々主張してきたことを党の代表質問として位置づけられたことと、党の若さをアピールできたので100点に近い」と自己採点。一方、首相の答弁には「誠意が全く感じられないので0点」と厳しい評価。「どう質問すればより具体的に答えてもらえるか、もっと勉強しなければ」と次に向けて闘志を燃やしていた。
|