衆議院予算委員会で9日、前日に引き続き森首相と全閣僚が出席して基本的質疑が行われた。民主党・無所属クラブからは佐藤観樹、仙谷由人両議員が質疑にたち、KSD疑惑、機密費疑惑を中心に論戦を挑んだ。
●同じポストに6年、公金を自由にする異常さ
佐藤観樹衆院議員はまず、機密費横領疑惑について質問。政府が警視庁に提出した被害届と告発状の公開を求めたのに対し、福田官房長官は「捜査に支障をきたす可能性があるので差し控えたい」と答えた。佐藤議員は重ねて刑事訴訟法でも国会法でも“国益に必要なら公開していいとしている”と指摘。いずれにしても機密費を扱うポストに同一人物が6年間も居続けることは異常だと批判した。
調査報告書で松尾克俊元室長の個人口座の1部しか調べていない点について、「信憑性に欠ける」と批判。具体的な金の経路・決済方法を明らかにするよう求めた。佐藤議員は「松尾元室長がどうして自由に使えたのか、報告書は答えていない。クレジットカードで自由に使えるとはズサンだ」と厳しく迫った。河野洋平外務大臣は「5400万円をもってすべてだとは思っていない」としながらも、今後は検察の調査に委ねるとの答弁を繰り返した。
また、使われたのが内閣官房の金の可能性がある点について、「福田官房長官のところの金をなぜ河野大臣のところの人が使えるのか」と平たい言葉で質問。
これに対して河野外相は、「かつては外交先に合わせて各地域課が担当していたが、支援室ができてからはわかっている人にまかせた方がいいということで、松尾室長一人に集中した」と説明した。佐藤議員は「公金の扱いは慎重の上に慎重であるべき。兼任発令されてない人物がどうして内閣官房の金を使えるのか、法的根拠がわからない」とした。さらに佐藤議員は組織的な関与の疑いについても徹底的に調査する必要性を訴えた。
●機密費の減額を要求
佐藤議員は外交費横領疑惑に関する報告書に「出ていった公金が5億円。外交上使ったであろう金は2億5000万円。そして3億1000万円はわからないままだ」とし、そうなると3億1000万円は計上する必要はない金ではないかと指摘。「いらないはずだ」とした。
河野外相は「情報収集・分析のために適切に使われている」として予算修正の意志がないと突っぱねた。福田長官は「国政の運営上必要。廃止・削減はできない。今後は機密費の必要性は高まっているとの見方もある」と開き直った。
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