16日、衆議院予算委員会の集中質疑で、民主党の松野頼久議員が発言に立ち、実習船事故、財政再建などの問題をめぐって政府を追及した。
松野議員は、まず、「えひめ丸」の事故の発生が伝えられた直後の政府の初動対応の問題を取り上げた。とりわけ、2月10日、森首相に事故の第2報が入った午前10時58分から、官邸への移動が必要だと首相が判断した第3報が入る午後0時20分までの間、最高責任者に一切情報が入らない「空白の1時間20分」があったことについて、「どう考えても解せない」と問題を指摘した。
安倍晋三官房副長官は、「第1報、第2報の際の総理からの指示に沿って動くことが重要だという事務方の判断」などと答えたが、伊吹文明危機管理担当相は「確かに、指摘はもっともだ。内閣の緊急対応の初動対応マニュアルは、初動段階での政治家の判断ポイントをどこに置くかという意味では不十分になっている。今後の危機管理のあり方として検討したい」と述べた。
松野議員は、さらに、「米国側からは不明者捜索を打ち切るといった話も伝わっているが、もってのほかだ。政府は米国に遠慮せずに、しっかり対応してほしい」と強く要求した。
また、森首相がゴルフ会員権を無償で譲り受けていたとされる問題で、松野議員は、「会員権の所有権は友人にあって名義を借りただけと言うが、会費も、プレー代も首相自身が払っていて、自分のものでないと言えるのか」と追及。福田官房長官は、「この会員権については、総理の知人の会社で資産に計上しているので」などと苦しい答弁に終始した。
松野議員は、電力自由化の問題にも触れ、「米国カリフォルニア州の停電で、わが国の電力供給のあり方も問われている。完全自由化が唯一の方向ではないのではないか」と質した。答弁に立った平沼赳夫経済産業相は、「完全自由化も選択肢の一つということだ。他国の取り組みなどを検証しながら方向を出していきたい」と述べるにとどまった。
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