水産実習船「えひめ丸」と米原潜「グリーンビル」の衝突・沈没事故の調査のために2月16日からアメリカを訪れていた民主党の「宇和島水産高校実習船衝突沈没事故対策本部」訪米調査団が23日、8日間の日程を終え帰国した。メンバーは、伊藤英成団長(外交安保ネクスト大臣)、首藤信彦衆議院議員、浅尾慶一郎参議院議員と政調スタッフ。
調査団はハワイでは、16日に、ハマーシュミット米国国家運輸安全委員会(NTSB)委員、ケース米太平洋軍司令部副司令官、フィッシャー米太平洋艦隊副司令官、マクレラン米沿岸警備隊司令官等と会談。ワシントンでは、20日にパターソン国家安全保障会議(NSC)大統領特別補佐官、ハバード国務次官補代行、スミス国防次官補代行らと会談した。また、ホノルルでは被害者のご家族にお会いするとともに、ご家族の支援活動として募金を行なっている銀行家や地元テレビ局を表敬し、感謝の意を伝えた。
アメリカの政府・軍関係者との会談はいずれも長時間にわたり、調査団側から事故原因や情報の有無についてさまざまな可能性を示しながらディスカッションを行った結果、米側から次のような新たな事実や見解を引き出すことができた。
(1) 今回の原子力潜水艦の運行は、訓練ではなく民間人へのデモンストレーションを目的としていたこと。
(2) 原潜はソナー等で「えひめ丸」の存在を探知していた可能性が高く、その記録がコンピューターに残っている可能性があること。
(3) 米側は捜索を徹底的に続けること。
(4) 引き揚げについての問題は費用でなく、技術上の可能性と数ヶ月かかる時間であること。
(5) 真相究明には公開で査問会議(Court of Inquiry)を行なうことなど。
これらの事実は、連日の記者会見で、いち早く報道され、日本国内に知らせることができた。
さらに、調査団はアメリカ側に対し、さらに徹底した行方不明者の捜索と「えひめ丸」の引き揚げを行なうこと、事故原因及び責任所在の徹底的究明、その結果及び事故に関する情報の迅速な提供と公開、当事者である艦長による家族への直接の謝罪などを求めるとともに、被害者に対する十分な支援と補償を行うことや、補償を十分行った上で、事故の教訓を生かし再発を防止するため祈念碑などの検討を要請。これらの申し入れに対して、米側は誠意をもって対応すると回答した。
また、調査団は今回の事故への今後の対応次第では日米関係に悪影響を及ぼしかねないという強い懸念を米側に伝えた。そして、原潜事故問題の真相と責任を明らかにするため、日本への特使の派遣を強く迫った。(これに対し、アメリカから27日に特使が派遣された)
調査団は帰国後、国会内で記者会見し、伊藤英成団長は「政府も与党も国内政局にかまけている間に、日本の政治の空白を民主党がカバーした。一定の役割が果たせたと思う」と自己評価。首藤議員は「NTSBはパニックに陥っており、調査の方向が決まっていなかった。当初から、“緊急浮上”は絶対におかしいと思っていたが、問題点をわれわれが指摘したことで捜査の進展に寄与できた」と述べ、浅尾議員は「被害者の家族には同時進行で何が起きているかわかることが大事。査問会議を傍聴する家族に同時通訳をつけるよう要望し、実現の方向になっている」と報告した。
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