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2001/02/23
<衆院予算委>ODAのずさんな実態を追及=山田敏雅議員
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衆議院予算委員会で23日、民主党・無所属クラブの山田敏雅議員がODA予算をテーマに政府を追及した。

 山田議員は、ODA供与の実態について言及。1994年から97年にかけて無償供与を行った20の対象国のうち、14か国が年度ごとの使途報告書を一度も提出していない状況を明らかにし、政府の対応を問い質した。河野外相は、「提出は求めているが、提出してこない国々はきわめて貧しい国や内乱・内戦の渦中にある国などだ。それを切ってしまうというのがいいのか、知恵を絞っているところだ」と答弁。山田議員は、「とにかく供与は続けるというのでは、国民は納得できない。供与は中止すべきではないか」と要求した。

 さらに、山田議員は、ODAの一環として行われているタイの下水処理プラント建設プロジェクトの問題について、政府を追及した。このプロジェクトは、ムール貝の養殖場などになっている海の真ん中に、180万トンの処理能力を持つ100万坪の処理場を700億円かけて建設するもので、財務省、アジア開発銀行(ADB )、国際協力銀行(JBIC)の3者が進めている。これをめぐって、タイ国内では 、地上げにまつわる政府関係者の汚職事件や環境への深刻な悪影響などが取り沙汰されている。

 山田議員は、現地視察を踏まえて、政府の認識を質した。財務省の溝口国際局長は、プロジェクトが閣議決定され、ADBが融資を決めた1995年当時は汚職問題について認識していなかった、環境への影響については初期環境調査を行った上で工事に着手している、などと答弁。これに対して、山田議員は、行われた環境調査は他の候補地についての簡単な調査だけで、現在の着工地については行われていないこと、また汚職事件については、すでにタイ紙の調査でタイ内務省土地局の政治家が60億円もの不正な利益を得たことが明らかにされていることなどを指摘し、政府の認識を批判した。溝口局長は、環境調査については「不十分だった」と認めるとともに、汚職問題も含めて、ADBが調査・検討中だと述べるにとどまった。

 山田議員は、さらに、「一番の問題は、住民や漁民に何も知らせることなく工事を進めていることだ。“調査する、確認する”と言いながら工事自体はどんどん進めて 、もう50%まで済んでいる。まず工事を中止すべきではないか」と追及したが、宮沢財相は、「ADBには、プロジェクトの実施にあたって慎重にしてもらう」などと答弁するにとどまった。

 最後に山田議員は、選挙区の広島で政府が建設を進めている国立広島原爆死没者追悼平和祈念館について触れ、全国都道府県で保存運動が広がっている「原爆の火」をこの祈念館に灯して欲しいと要望した。坂口厚生労働相は、「被爆者団体や関係者との合意が必要なので、話し合ってほしい」と述べた。

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