衆議院予算委員会で26日、森総理が出席しての質疑が行われ、民主党・無所属クラブから佐藤観樹、原口一博両議員が質問に立った。
この日の2番手として質問に立った原口一博議員は、冒頭、沖縄県の米軍基地問題を取り上げ、「1月以降の米軍関係の事故の続発で、県民の我慢は限界にきている。もはや地位協定の運用の見直しだけではムリだ。協定の改定や海兵隊の削減を求めるべきではないか」と政府を追及した。
これに対して、河野外相は、「国際情勢を考えずに兵力削減を求めるわけにはいかない。米側と注意深く話し合いたい」と述べるにとどまった。一方、森首相は、「県民の気持ちに機敏に対応することが大事だ。それができないときは、地位協定の改正も視野に入れて考えなければならない」と、従来よりやや踏み込んだ見解を明らかにした。
続いて、原口議員は、野党4党が共同でまとめた予算組み替え要求の骨子にしたがって質問を行った。
とりわけ、公共事業費の削減案に関連して諫早湾干拓問題を取り上げ、「千名の漁民が“海を返せ”と干拓事務所に詰め寄っている。有明海の生物の産卵期がはじまる5月頃までに、湾内を浚渫し、水門を開けるべきだ」と政府に要求したが、谷津農水相は、「本日設置した第三者委員会(「有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会」)が“開けろ”と言えばやるが、“開けるな”という長崎県の意見もある」などと述べ、後ろ向きな姿勢を示した。
また、財政構造改革をめぐっては、「政府の予算案で長期国債の増大に歯止めがかかっていると言えるか。なぜ財政構造の改革が貫徹しなかったのか」と追及。宮沢財務相は、「労働慣行が変わりつつあることと関係して家計消費が思うように伸びなかった。しかし、国債を4兆円減らし、国税も少し増えて、復調の気配は出てきている」などと、景気回復のテンポの問題に引き寄せて答えた。
原口議員は、「そういう問題ではない」と述べ、政府予算案における理念の欠如を批判。企業活動などに関しては、規制をなくし、健全な自由競争を促す一方、医療、福祉、教育などの分野は市場万能主義ではなく、人間尊重主義で望み、しっかり支える必要がある、と明快に論じた
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