平成13年度政府予算案は2日夜の衆議院本会議で、自民・公明・保守の与党3党などの賛成多数で可決され、参議院に送られた。民主・自由・共産・社民の野党4党は、公共事業費や機密費(報償費)などの減額を求める組み替え動議を衆院予算委と本会議に提出したが、否決された。
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<締めくくり総括質疑>
外務省機密費の上納は明らか
●佐藤観樹議員
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3月1日、2日の両日行われた各省庁分野ごとの分科会審議を経て、2日午後から衆院予算委で森首相ら全閣僚が出席しての締めくくり総括質疑が行われた。
民主党・無所属クラブから一番手として立った佐藤観樹議員は、KSDをめぐる汚職事件に言及。村上正邦元労働相が受託収賄容疑で逮捕されたことに関連し、「この事件は自民党政治の典型である政官業癒着スキャンダルそのものだ」と指摘。自民党の今日まで続けてきた政官業もたれあいによる政界支配の構図そのものだとした。
森首相は逮捕後初めての答弁だと前置きし、「深刻に受け止めている」としながらも、必ずしも政官業のトライアングル構造とは言えないと否定。佐藤議員は党費肩代わり問題についても政治資金規正法上違法だと指摘し、「有印私文書偽造であり、自民党としては疑われたものは返金するべきだ」と主張した。
佐藤議員は外交機密費問題についても、「審議したが何ら明らかにならなかった」と批判。その上で、財務省、経済産業省、農林水産省、総務省等の各大臣に、首相に随行して海外に出た折、宿泊費の差額は官房報償費から出されるかと質問。その事実はないとの各大臣からの答えに「外務省だけが特別なのには官房報償費の中に外務省分があることが伺える。外務省機密費の上納が見て取れる」と分析した。
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不良債権処理は素早く公平に透明に
●原口一博議員
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続いて質問に立った原口一博議員は、日本銀行が28日に0・35%の公定歩合を0・25%に引き下げた点について、速水日銀総裁にその理由を質した。
速水総裁は景気の回復傾向が鈍化している点を踏まえ、「金融面からの景気回復支援を考え、物価安定のためにとった措置だ」とした。
これに対して原口議員は「しかし、大きな不良債権を抱えながら構造改革・財政構造改革を先送することはリスクの拡大につながるのではないか」と反論。日銀にはインフレマーケットを明確に否定し、金融のアンカーとして機能してほしいと求めた。
また原口議員は、柳澤金融担当相に対し、「直接償却という言葉が一人歩きしている感があるが、これは危険だ」と指摘。不良債権処理にあたっては、流動化・法的整備に伴う直接償却・債権放棄・部分償却の4つがオフバランスシート化のなかにあって行われるべきで、素早く、公平に、透明に、果敢にやるべきだと提案した。
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政府は国民への説明責任果たせ
●五十嵐文彦議員
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民主党・無所属クラブの最後の質問者として立った五十嵐文彦議員が、政府の経済政策や、退陣が取りざたされる森首相の政権担当姿勢を問い質した。
まず五十嵐議員は、「予算委員会の質疑を見ていても、これほど議論が成り立たない国会は異常だ」とし、「政府は国民への説明責任を果たすことを回避している」と批判した。森首相は、「閣僚は誠心誠意答えていると思う」などと空疎な言葉で答えた。
また、五十嵐議員は、現在、政府・自民党内では2つの経済路線が主張されているとし、景気回復を掲げて財政出動をどんどん行うのか、構造改革を進めるために直接償却などを進めるのか、どちらの路線をとるのか、と質した。麻生経済財政政策担当大臣は、「景気回復できないと構造改革につながっていかないというのが優先順位だ」と述べた。
これに対して五十嵐議員は、「政府の見通しどおりの経済成長を達成しても財政赤字は解消できない」と指摘し、「年金や医療保険のあり方を含めて将来の国民生活がイメージできる経済プランを一向に示さないがゆえに、国民は不安を抱え、消費も伸びないのだ」と強く批判した。
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