民主党の鳩山由紀夫代表は19日、民主党本部を訪れたロシアのプリマコフ元首相と会談した。伊藤英成外交・安全保障ネクスト大臣が同席した。
鳩山代表は冒頭「1987年にモスクワを訪れ、(プリマコフ氏と)お会いしてから14年を経た」と述べ、祖父・鳩山一郎元首相が1956年の日ソ共同宣言に調印した関係から、ロシアに特別な思いをもっているとした。鳩山代表が「日本に最も精通しているロシアの政治家と理解している」と水を向けたのに対し、「日本をわかること自体は難しいが、ロシア国内も非常に複雑で理解し得ない」とプリマコフ氏が返答。鳩山代表も「日本においても与党の政治は一切わからない」と応じて笑いがもれた。
鳩山代表は日ロ関係は政権が変わっても大きく変化することはないだろうと述べ、「ロシアとの平和条約締結は、焦りすぎてはいけない。自民党の一部議員の利権目当ての行動は危険だ」とし、「領土問題で目立ちたいといった行動はつつしみ、基本を大事にしながら解決をはかっていくしかない」と考えを示した。
プリマコフ氏は、25日に予定される日ロ首脳会談に関し「1956年の日ソ共同宣言への言及をロシア世論は好んでいない。両国を接近させる上で好ましいことではない」と述べ、歯舞、色丹の二島返還を明記した同宣言を今後の日ロ交渉の基礎に置きたいとの日本政府の姿勢に疑問を示した。プーチン大統領についても「そうした共同宣言に言及している」と批判、「(日ロは)最良の形で交渉しているとは言えない」と指摘した。
伊藤NC大臣が「首脳会談で建設的な前向きな展望が開かれると思うか。ロシアの方々は領土問題をどう捉えているか」と質問したのに対し、プリマコフ元首相はロシアの世論は四島を放棄するという視点で動いているとはいえないとし、日露首脳会談の成果については明確なコメントを避けた。
プリマコフ氏は鳩山代表のロシア訪問を歓迎したいと述べ、なごやかに会談は終った。
|