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2001/12/03
「狂牛病に対する疑問を直接役所にぶつけよう」〜市民団体の緊急集会に民主党も協力
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「狂牛病に対する疑問を直接関係省庁に質そう」と、4つの市民団体が超党派の国会議員に呼びかけた「緊急院内集会〜BSE発症の責任と明日の畜産・酪農を考える」が3日、議員会館で行われた。主催したのは、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会、生活協同組合連合会グリーンコープ連合、日本消費者連盟、大地を守る会。

 この集会に先がけ、11月13日に民主党狂牛病問題対策本部と市民政策議員懇談会は、これらの団体から「BSE問題に関する消費者からのヒアリング」を行っていた。今回の集会はその4団体が超党派に働きかけ、合同主催する形で実現した。

 生産者・消費者・マスコミ関係者のほか、超党派の国会議員も多数参加。民主党からは、菅直人幹事長はじめ対策本部メンバーの筒井信隆・鮫島宗明両衆議院議員ほか16人の議員が顔を揃え、会場は200人を超える人であふれかえった。

 冒頭、菅幹事長が挨拶し、政府の危機管理体制の甘さと、第1頭目の感染牛が発見された際の対応の大幅な遅れを指摘。政府の不作為ぶりを改めて指弾した。

 集会では、大地を守る会の野田克巳事務局長の司会のもと、まず11月27日に農林水産、厚生労働両省に提出した事前質問と、それに対する両省からの回答を紹介。

 質問書では以下の3つの基本骨子を提示し、7つの質問を行った。
(基本骨子)
(1)日本におけるBSE発症の原点に立ち戻り、行政の本質的怠慢と基本的な判断ミスの責任を明らかにする。
(2)感染拡大防止のために、「入り口」としての畜産のあり方から、「出口」の食品衛生のあり方まで、危機認識をもって、総合的な、省庁横断的な新規部署を設置し、諸施設の実施を徹底した情報公開を伴って実施する。
(3)今回の事態を契機に、日本の畜産振興のあり方を抜本的に見直し、5年後、10年後を見据えたビジョンを構築する。
(質問)
(1)行政責任の自覚に関する質問、(2)安全性確保に関する質問、(3)安全性確保に関する質問、とりわけ検査法について、(4)行政指導のあり方に関する質問、(5)今後の食品安全行政に関する質問、(6)国内畜産の振興に関する質問、(7)アメリカ牛肉の安全性に関する質問。

 ところが、両省から提示された回答は、まさしく官僚答弁の最たるもの。それらに対して、参加者たちはそれぞれの不安・疑問・憤りを両省の担当官にぶつけ、解決への問題提起を行った。

 北海道から参加した生産者は「今後は二の舞を踏まないように対処するといいながら、政府は一部の肉骨粉の使用を許可した。肉骨粉への不安が解消されてないなか、その使用を認めれば、消費者の不安が消えないのは当然」として、相変わらずの危機管理意識の甘さを追及した。また、「肉骨粉が危険だとした政府指導は今回狂牛病が発生するまでまったく届いていなかった。市町村・行政のどこへ、どんな形で指導したのか」と、政府の指導の手ぬるさを指摘した。

 英国でコンサルタント会社に関わっている参加者からは、食品添加物として扱われている牛脂の存在について「食品添加物基準で判断して輸入されるため、政府はその危険性を見逃しているのではないか。飼料会社で使われている例がある」と指摘があり、厚生労働省の担当官もその存在を知らなかった事実を認めた。

 また、栃木県の生産者は、「消費者の不安は行政が消してくれるものと思っていた。しかし、行政が指導しても生産者が罰則規定をかいくぐって、牛を密殺するケースがあり、そこまでは管理しきれないと行政は言う。ならば、罰則規定を強化してでも、生産者を罰してくれ。私たち生産者は、消費者を裏切り、不純なものを食べさせてまで農業をやりたいとは思っていない」と、切々と重い言葉で訴えた。

 さらに、感染牛はすべて焼却処分するとしている政府の対応について、「発生原因を探る上では、研究資材として残しておく必要もある」との研究者からの指摘もあった。

 牛等由来原料を用いて製造された医薬品、医療用具等の自主回収についても、企業からの報告に頼っているため、その不徹底ぶりが明らかになった。

 2時間に及んだ消費者、生産者、飼料流通業者、食肉・食品流通業者それぞれの立場からの問題提起からは、この後に及んでも不十分な政府の対応が浮き彫りになった。

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