暴力を振るう配偶者から被害者を守るドメスティック・バイオレンス(DV)防止法案が4月6日の衆議院本会議で可決、成立した。今年10月から施行される予定。
この法律は、参議院共生調査会内のプロジェクトチームで3年をかけ超党派でまとめられたもので、この中では、民主党男女共同参画調査会の「女性と暴力対策検討チーム」でまとめられた案が、先導的な役割を果たした。
法律の正式名は「配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律」。これまで「夫婦間の問題」だとして見過ごされてきた配偶者からの暴力を犯罪であると明記し、DV防止と被害者保護を国や地方自治体に義務づけたのが特徴だ。夫婦ばかりでなく事実婚状態にある人や、婚姻中に暴力を受け、離婚後も継続する恐れがある元配偶者も救済の対象に含めた。都道府県は来年度から、「配偶者暴力相談支援センター」を設置、被害者の相談やカウンセリング、一時保護などを行うことになる。
被害者が重大な危害を受ける恐れが大きいときは、被害者の申し立てにより地裁が加害者に(1)住居や勤務先などへの6か月間の接近禁止(2)2週間の住居退去−−の「保護命令」を出す。
申し立てには、(1)暴力の状況(2)生命や身体に重大な危害を受ける恐れが大きい事情(3)支援センターや警察に相談したことなどの有無−−を書いた書面か、公証人による宣誓供述書が必要で、緊急性がある場合には地裁は口頭弁論や審尋を開かずに書面審理だけで命令を出すことも認められている。
また法案は保護命令の運用にあたる職務関係者への研修、啓発を義務づけて、関係者の無理解が被害者を新たに傷つけるようなことのないよう求めている。
石毛えい子男女共同参画・人権・消費者ネクスト大臣は6日、「被害者の保護に関し、保護命令を含めた一定の措置が規定されたことに関しては大いに評価されること。今後は、3年後の見直しを含め、この法律が、実効性のあるものとして活用されるよう、民主党として関心を持ち、検討をつづけていく」との談話を発表した。
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